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PNP型トランジスタのエミッタ接地について

一年ほど前から趣味で電子工作を楽しんでいる者です。 今はセットを買ってきて半田付けをして楽しんでいるだけですが、いつかは設計したいと思い少しずつ勉強しています。 そこで質問ですが、 PNPのエミッタ接地はエミッタ→ベースへ順バイアス、エミッタ→コレクタへ順バイアスとなっています。トランジスタの動作原理を考えても何故これでコレクタへ電流が流れるのか分かりません。 私にはエミッタ→ベースに電流が流れるだけでコレクタには漏れ電流ほどしか流れていないように見えます。 調べてみたのですが、PNPのエミッタ接地について詳しく解説されているものが見つかりませんでした。 電子の基礎が理解出来ていないのだと思いますが、考えても理解できず困ってます。;; 初歩的な質問ですが、どうかご教授のほど宜しくお願い致します。

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  • ベストアンサー
  • inara1
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回答No.4

>PNP型のエミッタ接地は逆バイアスがないため空乏層が出来ない PNPでもNPNでも、ベース-コレクタ間は逆バイアスで動作させます。 定量的に説明すると大変なので、walkingdic さんの「障壁突破」で定性的に説明します。最後に式が出てきますがかなり簡略化したので理解できるはずです。 トランジスタを流れる電流は、負の電荷を持つ電子と、正の電荷を持つホール(正孔)から成ります。電子の運動方向は電流の向きとは逆で、ホールの運動方向は電流の向きと同じです。以下の説明でバンド図というのが出てきますが、図の折れ線は電子やホールが流れる滑り台の面と考えてください。電子はこの滑り台を転がるパチンコの玉、ホールは逆さまの滑り台の面に沿って流れる水中の泡と考えてください。電子は図の下に降りようとするのに対して、ホールは上に向かおうとします。さらに、電子は+電圧の方向に引かれ、ホールは-電圧の方向に引かれて移動します。 PNPトランジスタはエミッタとコレクタがP型、ベースがN型半導体なので、そのバンド図は以下のようになります(なぜ斜面ができるのかは省略します)。    エミッタ ベース コレクタ     P     N     P                   ← 伝導帯     ̄ ̄\  - - -  / ̄ ̄         \__/     ← バンドギャップ     ̄ ̄\       / ̄ ̄ ← 価電子帯    + + +  \__/ + + + - は電子、+ はホールです。N型半導体には電子しかいません。ホールはP型半導体にだけいます。電子はパチンコ玉なので下に下りようとしますが、両側にエミッタとコレクタの障壁があるのでベースという井戸の中にたまっています。ホールは気泡なので上に昇ろうとしますが、ベース側に障壁があるのでエミッタとコレクタ中に留まっています(両端は半導体の外というとても高い障壁があるので、そちらには移動できません)。 上図はバイアスをかけていない状態ですが、通常のトランジスタのようなバイアス電圧をかけると下図のようになります。   エミッタ  ベース   コレクタ     P    N        P   電子の流れ      / ̄ ̄     ←- -      /             ̄ ̄\ - - - /             Ie →    Ic →           ̄ ̄    / ̄ ̄      ┌ E     C ┐               / + + →       │    B   │     ̄ ̄\     / +            │   │↓Ib │    + + +   ̄ ̄ +              └┨■┴┨■┘        + → ホールの流れ エミッタ-ベース間は順バイアスにするので、エミッタ-ベース間の障壁は、バイアスなしのときよりも下がります(ややこしいですが、正の電圧をかけると斜面は下に下がります)。逆に、ベース-コレクタ間は逆バイアスにするので、、ベース-コレクタ間の障壁は高くなります。このとき、ベースに溜まっていた電子はエミッタ方向に流れていきます(電子のエネルギーには幅があるので障壁が完全になくならなくても電子が流れます)。エミッタに溜まっていたホールも、ベース側の障壁が下がることによってベース側に流れます。コレクタに溜まっていたホールは外部電源の電圧によって外部に引かれて出て行きます。エミッタからベースに流れてきたホールは、ベース-コレクタ間の逆バイアスによってできた斜面を昇っていき、コレクタに移動します(ホールは気泡なので上に昇ろうとします)。 このように、トランジスタのエミッタ-ベース間に順バイアスをかけ、ベース-コレクタ間に逆バイアスをかけることによって、エミッタからベースには電子とホールによる電流が流れ、ベースからコレクタ方向にはホールによる電流が流れます。コレクタ電流の元のホールはエミッタから来たものなので、エミッタ-ベース間に順バイアスをかけてホールを注入しないとコレクタ電流は流れません。 普通、トランジスタのベースは非常に薄く作られています。薄くすることによって、エミッタからベースに入ってきたホールは減衰することなくコレクタ側に出て行きます。ベースはN型なので、ホールがここを進むうちに電子と結合して次第になくなっていきますが、この距離が小さければホールの数はそれほど減りません。したがってホールの数はエミッタとコレクタでほぼ同じになります。エミッタ電流 Ie は、電子による電流 In と、ホールによる電流 Ip の和    Ie = In + Ip になります(In と Ip は同じ量ではありません)。コレクタ電流 Ic はほとんどホールによるものだけなので    Ic = Ip です。ベース電流は Ib = Ie - Ic なので    Ib = In + Ip - Ip = In となります。したがってエミッタ接地での電流増幅率 β は    β = Ic/Ib = Ip/In ベース接地での電流増幅率 α は    α = Ic/Ie = Ip/( In + Ip ) = 1 - In/( In + Ip ) = 1 - In/( In + β*In ) = 1 - 1/( 1 + β ) となります。普通のトランジスタでは、エミッタを流れるのホール数が電子数よりも大きくなるように、エミッタの不純物濃度をベースよりも大きくすることで、β = 100 程度となるように作られています。β = 100 のとき、α = 1- 1/101 = 0.99 となります。 【補足】 (なぜベース-コレクタ間に逆バイアスをかけるのか) ベース-コレクタ間に逆バイアスをかけなくても、エミッタ接地での電流増幅率 β は、エミッタを流れるのホール数が電子数よりも大きくなるようにすれば大きくできるので、コレクタは無関係のように思えます。しかし、ベース-コレクタ間に逆バイアスをかけないと、ベース中の電子はエミッタに流れるだけでなく、コレクタ側にも流れてしまいます(障壁はゼロでなくても電流はその高さに対して指数関数的に流れる)。そうすると、同じベース電流でも、エミッタ側に流れる割合が減ってしまうので、エミッタを流れるホールの数が減ります。コレクタ電流はほとんどエミッタを流れるホール電流に等しいので、そうなるとコレクタ電流が減ってしまいます。したがって、ベース-コレクタ間に逆バイアスが浅いと(Vceが小さいと)、コレクタ電流/ベース電流、つまりエミッタ接地での電流増幅率 β が小さくなってしまいます。トランジスタのデータシートの Ic-Vce特性で Vce が小さい領域で Ic が下がっているのはこのためです。

noname#57874
質問者

お礼

No2の方の御回答で自分の考え違いに気が付き氷解しました。 電流増幅できる原理も知ることができ一層、理解を深めることができました。どうも有難うございました。

その他の回答 (3)

noname#74145
noname#74145
回答No.3

ちょっと確認しておきたいのですがエミッタとコレクタ間に初めから電圧が掛かっているのは承知していますよね?

noname#57874
質問者

補足

補足説明します。 今までトランジスタは逆バイアスを掛けることによって空乏層を作ってそこに順バイアスを掛けて一気に電流を流すもんだと覚えてきました。しかしPNP型のエミッタ接地は逆バイアスがないため空乏層が出来ない為、エミッタからベース(P→N)までしか電流が流れ込まないような気がします。

  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.2

まず、初心者が戸惑いやすいのがエミッタ接地、コレクタ接地、ベース接地の違いなので、回路上の違いをここで明確にしておきます。 エミッタ接地とは、入力がベース、出力はコレクタから取り出すタイプ コレクタ接地とは、入力がベース、出力はエミッタから取り出すタイプ ベース接地とは、入力がエミッタ、出力はコレクタから取り出すタイプ と覚えておくと簡単に見分けられます。 でPNPのエミッタ接地では、エミッタは電源に、ベースは入力、コレクタは負荷抵抗を介してグランドに接続してあるパターンが一番簡単なのでそれで説明します。 まず、ベースの電圧が電源電圧より低くなるとエミッタからベースに電流が流れます。 すると、それまでエミッタからコレクタに流れていなかった電流が流れるようになります。 これはNPNのときと同じことです。トランジスタ記号ではエミッタに電流の流れる方向の矢印があります。NPNではエミッタから流れ出す方向にあるので、ベースからエミッタにベース電流が流れ、そしてコレクタからエミッタに電流が流れます。 本来コレクタからベースを経由してエミッタへはコレクタとベース間のPN接合が逆なので流れないのですが、ベース電流が流れるとその数十倍から数百倍の電流が流れるようになるわけです。これはベース電流によりその障壁が低くなり突破出来るようになるためです。 PNPではエミッタからベースに流れる方向が順方向です。NPNと同じに考えると、エミッタからベースに流れるとき、ベースからコレクタの間はPN接合は逆なので流れないはずですが、ベース電流が流れるとその障壁が低くなり、突破されるためです。 以上の説明でわかるでしょうか。

noname#57874
質問者

お礼

わたしの考え違いで逆バイアスが掛かっていないように感じていただけだったようです。きっとPNP型は簡単だから説明されているものが少ないのでしょうね。この先が思いやられます。(汗

  • 86tarou
  • ベストアンサー率40% (5093/12700)
回答No.1

NPNトランジスタの場合、ベースからエミッタへ電流を流す(回路図の矢印通り)とそれに比例(増幅)した電流がコレクタからエミッタへ流れます。PNPトランジスタの場合は逆に、エミッタからベースに電流を流すとエミッタからコレクタに電流を流すようになります。これがトランジスタの基本動作です。

参考URL:
http://www.picfun.com/parttrs.html

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