≪会社側が働く者に対して誠意ある対応で納得させることが前提だと思いますが、働く者が「合理的でない・納得できない。」と主張した場合にその変更が合理的であるかどうかの判断は、「裁判」ということでしょうか?≫
最終的な決定は「判決」です。ただ、ある程度結果が見込めるような内容であれば、労使ともに大変なだけなので、裁判せずに協議決着することを選択するのが普通でしょう。裁判しても判決前に和解してしまうことが多く、それならしない方がよかったわけです。その選択に際し賢明な考えが出てくるかが鍵です。
≪先の質問で「作業見直しによる諸手当部分のカット」については「法律上、問題ない」と書いておりましたが、一概にそうではなく結局のところ「合理性がある」ことを前提にあくまでも「同意」がなければ簡単には賃金カットはできないということでしょうか?≫
「法律」という語の定義ですが、労働基準法は労働刑法に相当するものですので、債権債務の問題に関しては民法規定で判断します。さらに、当事者が労使関係という特別のものなので、市民社会を前提とする民法にそれなりの法解釈を加えて判決してきました。それが「判例法」といわれるもので、実務に直接関係させられるまでいかないが、似た事件については大体の裁判所の見解がわかるというかたちで、裁判見込みの利用がなされてきました。そしてさらに、この判例法は、労働基準法18条の2(解雇権濫用法理)として法規定化され、今年の三月一日施行とされている労働契約法にて法規定化されます。法規定となるものですから、直接の実務ルールになるというものです。
なお、労働契約法は刑法でなく民法の特別法なので、労働基準監督署はタッチしません。したがって、団交なり個別労使紛争なり裁判なりで解決することになります。
さて、就業規則の新規定を会社が合理性ありとして実施することは可能です。それに反応して撤回団交してもよい。また実施前に撤回団交してもよい。大切なのは、一致団結して絶対反対という意思が固まるかどうかになります。新規定が多少合理性ありの可能性があるとすれば、労組からは別案なども要求するなど体勢を整える必要があります。
お礼
大変すばらしいアドバイスありがとうございました。今後の参考とさせていただきます。