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ショットキーダイオード 高電圧領域での,理論値と実験値のズレ

高電圧領域での,ショットキーダイオードの電流値のふるまいについて質問です。 実験値では高V領域にすると,ショットキー接続のI-V特性が理論曲線からずれてしまい,この理由はダイオード内の抵抗成分にあるそうですが・・・ 抵抗成分が dV/dt = R + kT/qI と書き表せるそうなんですけど,どうやったらこの式が導出できますか? また,この式が何を示しているのかイマイチ解りません。

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  • inara1
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回答No.2

直列抵抗を加味したダイオードの等価回路は以下のようになります。    ───┐    ↑   R  V1    V  I │    │ ↓ ▼ V2    ───┘ 直列抵抗 R にかかる電圧を V1、ダイオード ▼ にかかる電圧を V2 とすれば、それらに流れる電流は同じ I なので    I = V1/R             --- (1)    I = I0*[ exp{ q*V2/( k*T ) - 1 ] ---(2) となります。 式(1)から    V1 = R*I 式(2)から    V2 = k*T/q*ln ( I/I0 + 1 ) 素子全体の電圧 V は V1 と V2 の和なので    V = V1 + V2 = R*I + ( k*T/q )*ln ( I/I0 + 1 ) --- (3) この両辺を電流 I で微分すれば    dV/dI = R + ( k*T/q )/( I/I0 + 1 )/I0        = R + ( k*T/q )/( I + I0 )        = R + ( k*T/q )/{ I*( 1 + I0/I ) } ですが、大電流領域では I >> I0 なので、I0/I ≒ 0 と近すれば    dV/dI ≒ R + ( k*T/q )/I となります。 式(3)が直列抵抗のあるダイオードの V-I 特性ですが、KappNets さんの回答にあるように、実際のダイオードでは、n というパラメータを加えて    V = R*I + ( n*k*T/q )*ln ( I/I0 + 1 ) --- (3') となります( 1 < n < 2 )。これを I = の形にはできませんが、V = の形で表せば簡単に計算できます。グラフの縦軸を V、横軸を I として測定データのグラフを描き、それを式(3')で最小2乗近似すれば、I0 と R と n の値が求められます。

igitan
質問者

お礼

とても詳しい回答有難うございます。助かりました。 理論と実験ではこんなにも違いがあるのですね。参考になります。 dV/dI ≒ R + ( k*T/q )/Iの 第2項は,電流に依存するダイオードの抵抗って事考えても良いんですかね?

その他の回答 (2)

  • inara1
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回答No.3

>第2項は,電流に依存するダイオードの抵抗って事考えても良いんですかね? そうです。KappNets さんの回答にあるように、これを微分抵抗と言いますが、 ( k*T/q )/I が電流 I によって変わるという性質を使うと、交流(AC)信号に対するスイッチとして利用できます。 図1にその回路例を示しますが、ダイオードにDC電圧 Vd とAC信号を両方加え、Vd を変えると、出力に出てくるAC信号の大きさが変わります。Vd = 0 のときはダイオードに電流が流れないので、( k*T/q )/I が非常に大きくなって、図2の抵抗 r が非常に大きくなったのと同じになります。R1 << R2 ならば、出力に出てくるAC信号は入力信号とほぼ同じ大きさになります。Vd を大きくしてダイオードに流れる電流を例えば 1mA にすれば、r = 1.38e-23*300/1.6e-19/1e-3 = 26Ω になるので R1 >> r ならば、出力に出てくるAC信号は非常に小さくなります。         抵抗 AC入力 →─ R1 ┬───────→ AC出力            C ←コンデンサ            ├─ R2 ┐+           I↓▼    Vd        ───┴───┴─── 【図1】ACスイッチ回路 AC入力 →─ R1 ┬───────→ AC出力            C            ├─┐            R  │ 電流によって   │ R2 値の変わる抵抗→r  │        ───┴─┴───── 【図2】ACスイッチの等価回路    

igitan
質問者

お礼

わかり易い回答ありがとうございます。 お陰さまで理解する事ができました。 また,( k*T/q )/Iの性質の使い方など丁寧な補足有難うございました。

  • KappNets
  • ベストアンサー率27% (1557/5688)
回答No.1

ショットキの専門家ではありませんが、大電流になると寄生抵抗が効いてくるのは一般のpnダイオードも同様です。寄生抵抗Rはダイオードと直列に入ると考えてよいと思うのですが、ダイオードの電流電圧特性が I=I0*[exp(qV/kT)-1] [1] であるとすると、微分抵抗は r=dV/di=(kT/q)*I [2] となりますから、これにRをたすという発想です。微分で話が通るのは小信号動作(信号の大きさがdVのように小さい)が前提で、大信号なら扱いは数学的には複雑化します。なお[1]の式は教科書的な式で実際にはexp(qV/nkT), n>1などのようになるかも知れません。

igitan
質問者

お礼

早速の回答ありがとうございます。 なるほど,寄生抵抗とダイオードの微分抵抗を別けて考えれば良いのですね。 信号によって式が変わるとは知りませんでした。まだまだ勉強不足ですね; 有難うございました。

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