面白そうなので、私も考えてみました。
でも、力およびませんでした。
反応熱 Q をベクトルと考えて、熱化学方程式の反応物にかかる係数をそのベクトルの成分とすれば、問題はベクトル方程式
Q = x Q1 + y Q2 + z Q3
の未知数 x, y, z を求めることに帰着できます(反応熱と熱化学方程式が3こ与えられているとき)。
例として、エタノールの生成熱を求める問題を解いてみます。
熱化学方程式
2 C + 3 H2 + 1/2 O2 = C2H5OH + Q
のQを求めるのが目的です。
Q = (Cの係数,H2の係数,O2の係数)
= (2, 3, 0.5)
問題文に与えられた熱化学方程式は
C + O2 = CO2 + Q1 ……(1)
H2 + 1/2 O2 = H2O + Q2 ……(2)
C2H5OH + 3 O2 = 2 CO2 + 3H2O + Q3 ……(3)
(1)式より
Q1= (Cの係数,H2の係数,O2の係数)
= (1, 0, 1)
(1)式には、H2が出てこないので、ベクトルの第二成分は 0 になります。
同様に(2)式と(3)式から
Q2= (0, 1, 0.5)
Q3= (0, 0, 3)
となります。
ここまでくると問題は、ベクトル方程式
Q = x Q1 + y Q2 + z Q3
の未知数 x, y, z を求めることに帰着できます。
x Q1= x(1, 0, 1 )
+ y Q2= y(0, 1, 0.5)
+ z Q3= z(0, 0, 3 )
--------------------
Q = (2, 3, 0.5)
第一成分から x=2, 第二成分から y=3がすぐに求まります。
最後に第三成分に x,y を代入すると
1 x + 0.5 y + 3 z = 0.5
1・2+ 0.5・3+ 3 z = 0.5
となって、z=-1が求まりますから、答えは
Q = x Q1 + y Q2 + z Q3
= 2 Q1 + 3 Q2 - Q3
となります。
わあ、すごい。と思いついたときは興奮したのですけど、所詮は思いつきで、欠陥が山ほどあって、ぜんぜん駄目です。
(a) まず、
CO + H2O = CO2 + H2 + Q1 ……(1)
C + CO2 = 2 CO + Q2 ……(2)
C + O2 = CO2 + Q3 ……(3)
から
H2 + 1/2 O2 = H2O +Q
の反応熱Qを求めよという問題が、このままでは解けません。
2成分のベクトルに C の係数を加えて三成分にしないとだめです。
C, CO2, CO の中からCを選ぶとこが機械的にできない。
(b) 単に連立方程式を解いているだけ。
(c) みんなが無意識にしていることを、長々と書いただけ。
(d) そもそもベクトル方程式って、高校で習ったか?
(e) いずれにしたって、難しい。これで解ける人は、こんなことしなくても解ける。
やはり、皆さんのおっしゃるとおり、『今の高校化学ではヘスの法則をきちんと教えていない』ってことなのかしら。
お礼
こんな考え方もあるのだと初めて知りました。 絶賛するようなベクトルを使った裏技なんて存在するのでしょうかねぇw