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もしX染色体に「男性化失敗遺伝子」が発生したら・・・?
もしX染色体に「男性化失敗遺伝子」が発生して、この遺伝子を持つXY女性が発生した場合は、その女性に子ができたとき、その子の性別はどうなると思われますか? その女性からは減数分裂でX卵子とY卵子が発生しますが、X卵子に含まれるX染色体には「男性化失敗遺伝子」がありますので、この卵子が受精した場合は必ず女性になるはずです。 X卵子+X精子→XX女性 X卵子+Y精子→XY女性 しかし、Y卵子が受精した場合はどうなるのでしょうか? Y卵子+X精子→? Y卵子+Y精子→? ちなみに、このXY女性のY染色体は正常です。
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質問者が選んだベストアンサー
質問者さんの考えたような現象は実際に存在します。 マイオプスという北欧の森林に住むネズミの一種ではXYの雌が存在します。この雌は雌しか産みません。Y染色体は正常(つまりSryは生きている)と考えられ、どうやらX染色体上にY染色体の雄化作用を抑制する遺伝子が生じたのだろうと考えられています。 XY型の性決定で、雄と雌が同数出てくるのは当たり前と思われがちですが、実はこれは非常に危うい。X染色体上にY染色体の伝播を妨げるなんらかの因子が偶然生じた場合(たとえば、Y精子の形成をじゃまするとか、XY雄を殺すとか、性転換させるとか)、宿主の適応度を下げてしまうような場合でも、その因子は集団の中にひろまって遺伝子頻度が高まります。ハミルトンやフィッシャーらが理論的に証明していますし、実際自然界でもそういう例は数多く見つかります。 ですから、質問者さんはかなりいい着眼点をもっていると思います。 何を馬鹿な、と思った人は自然界にはまだまだ知らないことがたくさんあるということを知りましょう。
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- geneticist12
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>X'染色体があると雌になるから、X'精子はありえないのでしょうか? そうなるでしょうね。まだ見つかっていない、あるいは将来生じるかもしれない、X'無効化の遺伝子がない限り。 ついでに、さらに補足情報ですが、 大野先生は「スカンジナビア森林レミング」と書いていましたが、標準和名は「モリレミング」あるいは「モリタビネズミ」のようです。 それと、自分の仕事関係の論文を読んでいて偶然見つけたのですが、 Dicrostonyx属のレミングの、ある2種でもX'が存在して、X'Yが雌になることが知られていますが、マイオプスのような生殖細胞でY染色体の消失、X'染色体の倍化は起こらず、そのままX'卵とY卵が生じるそうです(もちろんY卵にX精子が受精すれば雄が生まれ、Y精子が受精すると致死)。 まったく、生き物の世界は多様で奥深い。
- geneticist12
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>XY雌からY卵子が発生した場合、性別の決定が精子から卵子に移行するわけですね? そうとも言えますが、X'卵の場合でもすでに精子には性別の決定力がありませんから、卵の方に決定因子があるといっていいのではないでしょうか。
補足
X'卵子も卵子のほうに性別決定要因があると解釈することもできますね。 X'染色体があると雌になるから、X'精子はありえないのでしょうか?
- geneticist12
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>X’YYでも雌になるのでしょうか? これも私には情報不足でわかりません。 Yのdose(すなわちSryのdose)が増えてもX'が完全にepistaticに作用して雌になる可能性と、両者に拮抗性があり量的にYがX'を勝っているので雄(あるいは間性)になる、という可能性が考えられるでしょう。Sryにしてもその下流のSoxにしても他の因子と相互作用しながら働く転写因子なので、量比が影響するという後者の可能性はありますね。 「実験医学」のバックナンバー(vol. 16, 1995)にある故・大野乾先生の文章を読み返しましたので、いくつか追加情報、訂正を書きます。 ・マイオプスは学名 Myopus schisticolorで和名はスカンジナビア森林レミングというらしいです。 ・マイオプスXY雌からごくまれに雄が生まれることがあり、それはYを捨て損なったXY生殖細胞から生じたY卵子がX精子と受精することによるそうです。Y卵子というのもあり得ないことではないのですね。 ・また別の種では雄雌の核型がXOのものやXXのものがあるそうです。どちらの種にもSry遺伝子は存在せず別の睾丸決定因子があるようです。 XOの種では、父方Xを受け継いだ方が雄、母方Xを受け継いだ方が雌、XX, OOは致死です。 XXの種では見た目同じXでも睾丸決定因子が乗っているものといないものがあって、それで雌雄が決まっているようです。先の投稿で触れた、XXの生殖細胞は精巣では死んでしまうという原則を破る例です。 興味がおありでしたら、もっと新しい文献を調べてみてください。
補足
マイオプスXY雌からY卵子が発生した場合、性別の決定が精子から卵子に移行するわけですね?
- geneticist12
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>マイオプスの例で雄化抑制因子を持つX染色体をX’とすれば X’Yは雌になりますが、もしX’XYという染色体異常の受精卵が発生しても やはり雌になるのでしょうか?> そういう事例が実際にあるかどうかということは知りません。しかし、性染色体の不分離によってXY精子ができることは珍しいことではないですからX'XYの個体が生まれることは十分考えられますね。 おそらく、この雄化抑制因子は機能獲得型(gain-of-function)の突然変異であり、epistatic(遺伝子間相互作用で支配的)な因子で、正常のXがあってもその効力はキャンセルされないと考えられます。だとすると、X'XYは雌になるはずです。
補足
雄化抑制因子は、雄化因子より上位支配的な因子であると考えるならば、 X’はYよりも絶対的な優位性があることになるから X’YYでも雌になるのでしょうか?
- geneticist12
- ベストアンサー率67% (701/1045)
>雌しか生まない雌ということは、つまりY卵子は発生しないということなのでしょうか? 実は、生殖細胞ではY染色体を失いXが倍加して、XXになっています。したがって雄化抑制因子を持ったX染色体の卵しかできません。これにX精子が授精すればXXの雌、Y精子が授精しても雄化抑制因子のためにXYの雌、で雌の仔しか生まれません。 実際のところ、ほ乳類ではXYから生じる卵というのは私の知る限りありません(これも例外があるのかもしれませんが)。ショウジョウバエや魚類ではかなり容易に出来るのですけれど。 ほ乳類では、生殖巣の雌雄と、生殖細胞の性染色体核型が一致していないと生殖細胞が消失してしまうという現象があります。ご存じのように、Sryのあるなしによって決まるのは、生殖巣を構成する体細胞の性です。 そこに移動してきた始原生殖細胞は、性分化した体細胞性の生殖巣の誘導で精原細胞になるか、卵原細胞になるかが決められます。性モザイクや性分化の異常で、精巣にXX始原生殖細胞、卵巣にXY始原生殖細胞が入る場合がありますが、初期にはそれぞれ精原細胞、卵原細胞に分化しますが、すぐに退縮してしまいます。マイオプスの場合は、雄化抑制と同時に生殖細胞の核型変更をすることによって不妊になることを切り抜けているわけですね。 結論としては、 「XYの卵巣でXYの生殖細胞が発達することはなく不妊になるでしょう。マイオプスの例のようにXYの雌が生じ生殖可能であったとしても、Y卵子はできないでしょう」。 ちなみにショウジョウバエの場合だとY卵子というのは可能で、X精子と受精するとXY雄、Y精子と受精するとYYで、生存に必須のX染色体を欠くので致死になります。
補足
マイオプスの例で雄化抑制因子を持つX染色体をX’とすれば X’Yは雌になりますが、もしX’XYという染色体異常の受精卵が発生しても やはり雌になるのでしょうか? X’XYの受精卵は、1つのX染色体に雄化抑制因子を持ちますが もう1つのX染色体は正常です。
- warudori
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「思われますか?」という事なので、個人的な考えでも良いでしょうか。 エピジェネティクス的な事はよく分からないのですが、例えばマウスで、正常な卵子(性染色体:X)に正常な卵子から取り出した核(性染色体:X)を移植して、染色体上は不備がないように受精(XX)させたとしても、受精9日目(マウスなので出産は約20日目)ほどで発生が止まってしまいますよね。(同様に卵子から核を除いて、精子由来の染色体のみでXXやXYにしても。) これはゲノムインプリンティングによるものですが、同様に(ゲノムインプリンティングとは関係のない事かもしれませんが)、「Y卵子+X精子」という事があったとしても、正常発生はしないと私は思います。(YYは致死)
補足
なるほど、そういう考え方もあるのですね?
- guragura77
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いろいろと都合のいい仮定をしておきながら「Y卵子+X精子→XY男性」の部分に引っかかりを覚えるというのがよくわかりません。受精卵が正常なXY型なら男性になる、でいいんじゃないですか? WZ型みたいにメスがヘテロのものもいるわけだし、こういう仮定の下なら卵の型によって性が決定されてもおかしくはないと思いますけど。
補足
性別の決定が精子から卵子に移行した状態と考えたら良いのですね?
- nayu-nayu
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岩倉洋一郎、他「動物発生工学」(朝倉書店、2002)によると、SRY遺伝子(Y染色体に存在する男性化遺伝子)が欠損したXY型は女性となりますが、人での報告では、SRY遺伝子欠損型XY女性の場合、不妊となるようです。 男性化に一番関わる重要な遺伝子はY染色体のSRY(マウスだとsry)なので、X染色体に生じる男性化は分かりません。 そもそもあるんでしょうか。
補足
SRY遺伝子欠損型XY女性が不妊であることは知っていますが、このXY女性のY染色体は正常です。
- yakyutuku
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X染色体がないと卵子できないので、 X卵子+X精子→XX女性 X卵子+Y精子→XY女性以上終了です。
- wa7779
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面白い質問ですね。生物学的に起こりえない現象でしょうが、仮に『起こった』として考えてみましょうか。 本題に入る前にまず数点確認しておきましょう。本来、正常男性はXY、正常女性はXXですよね。つまり、男性はX染色体を1本、女性は2本持っていることになります。X染色体には生命活動に必要な遺伝子が乗っており、逆にY染色体にはそういった遺伝子が乗っていないことが推察されます。また、女性はX染色体上の遺伝子を男性に比べて2倍持っていることになります。つまりX染色体一本で生命活動を維持できるわけですから、男性と女性のX染色体遺伝子量を合わせるために、女性のもう片方のX染色体は不活性化され遺伝子発現を行わないようになっています。女性の場合、父親由来のX染色体と母親由来のX染色体のどちらか一方が細胞ごとにランダムに発現している状態です(つまり正常女性はX染色体モザイクの状態)。 本題に入りますが、まず、「男性化失敗遺伝子」が発生してしまったX染色体を「X’」とします。そうすると、この女性はX’Yと表すことができますよね。実際には生殖不能でしょうが、仮にこの人からX’卵子とY卵子ができたとします。これらを踏まえ、ご質問にお答えすると... 正常男性(XY)との交配によって、子供の性染色体の組合せは以下のものが出来上がります。 X’X、X’Y、XY、YY それぞれ、発生率は1:1:1:1 それらの表現形を考えてみましょう。 X’X:Y染色体がないので女性(細胞レベルではX染色体およびX’染色体の発現はランダム) X’Y:Y染色体がありますが、それの発現を邪魔するX’があるので女性 XY:X染色体は正常なので、正常男性として生まれることができる YY:生命活動に必須なX染色体がないので発生できない(致死) つまり、このX’Y女性から正常なY染色体、正常男性から正常なX染色体を受けついだ受精卵のみ正常に男性になると思われます(あくまで机上の理論です)。 X’染色体は異常な染色体ですので、実際には遺伝子発現がおかしい、もしくは発現しない可能性があるので、X’Yは致死あるいは重症の女性、X’Xは軽症の個体発生異常を起こした女性になるとと思います(知能障害が起こる可能性大)。 そもそも、このX’Y女性には正常な排卵はないでしょうね。 ご質問の答えはこんなところでしょうか。
補足
男性化失敗遺伝子は、性別を女性化するだけで他の部分(体質や性格など)には影響を及ぼさないという前提です。 Y卵子+X精子→XY男性 Y卵子+Y精子→YY致死 普通に考えたら、こうなると思いますが・・・ しかし、X精子が受精したのに本当に男性になるのでしょうか? Y精子が受精したら、YYで致死なのは理解できます。
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お礼
御回答ありがとうございます。
補足
雌しか生まない雌ということは、つまりY卵子は発生しないということなのでしょうか?