>(1)の文の主語に下線を引け。 という問の答えは何ですか?
「主語」は、次の2つの意味で用いられます。
(1)「~は、~である。」の「~は」の部分。
(2)(1)の「~は」の中の最も中心となる名詞または代名詞。
例えば、次の(3)の文の「主語」は、(1)の考え方では(a)であり、(2)の考え方では(b)です。
(3)This flower is a rose.
(a)this flower
(b)flower
(1)の意味の主語は次の(ア)、(イ)などの場合に、(2)の意味の主語は次の(ウ)、(エ)などの場合に、それぞれ用いられます。
(ア)疑問文は主語の前にisを出して作る。
(イ)第1文型はSVの形をしている。
(ウ)主語が単数形の場合には動詞はisを用いる。
(エ)either A or Bが主語である場合は、動詞はBに一致させる。
お気づきのように、(1)の考え方を用いるのは文をS、V、O、Cに分ける必要性がある場合であり、(2)の考え方を用いるのは動詞の形を決める必要性がある場合です。
英米人は、英語には「て、に、を、は」がないため文の意味はそれをS、V、O、Cに分解することによって決めているので普段は「主語」は(1)のように考えていますが、動詞の形をどのようにするかを考えるという特殊な場面においてだけ(2)のように考えます。
日本語の文の構造を考える場合(つまり、日本語の文法)では常に(2)の考え方をしますが、これは日本語では「て、に、を、は」があるため文の意味はS、V、O、Cに分解しなくても常に明らかであること、「疑問文は主語の前にisを出して作る」などのことがないこと、などのため(1)のように考える必要性が生じないためと思われます。
したがって、試験などで「主語は?」と聞かれた場合は、(1)、(2)のいずれの意味で尋ねているのかを判断して、それに合うように答えなければなりません。
しかし、実際問題として(1)、(2)の2通りの考え方によって英文法は成り立っているので、(1)、(2)のいずれの意味で聞いているのかを断らないでただ単に「主語は?」と問い、例えば(a)を正解として(b)を不正解とするような試験問題は配慮を欠いておりたいへん不適切であると言えます。平たくいえば、出題ミスでであると思います。
また、このような問題を出題するのは通常は中1レベルの生徒を対象にした場合なので、そのような初歩的な学習者に(1)、(2)のいずれであるかを自分で判断した上で答えることを求めるのは、論外であるとも言えます。
>どうして「これ」ではないのでしょう?
これも上記「主語」の件と同じように、単語1語の意味を尋ねているのか文の主語(つまり、S、V、O、CのS)としての意味を尋ねているのかが分からないので、仮に「これ」を不正解にするのであればそれは出題ミスとされるレベルのことだと思います。
例えば、「次の(4)の「the diamond she bought for $1,000 in New York」を和訳せよ」のような問題があった場合、(a)のように答えた生徒は○で、(b)のように答えた生徒は×でしょうか。
(4)Mom lost the ring she bought for $1,000 in New York.
(a)彼女がニューヨークで1,000ドルで買った指輪を
(b)彼女がニューヨークで1,000ドルで買った指輪
そのようなことはあり得ません。(a)も(b)も正解です。
おそらく御質問の文を出題された方は「主語には「は」が付くということを理解させたかったから「これ」を不正解にした」と仰ると思いますが、それは出題者の勝手な思いこみあるいは出題者の好みに過ぎません。学習者の理解の到達度を調べるという試験の本来目的から大きく外れていると言わざるを得ないと思います。
お礼
大変丁寧なご説明ありがとうございました。 (1)と(2)どちらを用いるかは、それぞれの必要性によるのですね^^ 日本語と同じようには説明できないこともよくわかりました。