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放射線遮蔽用の金属につて
放射線遮蔽用の金属につて調べています。 半導体を金属でシールドしたいと考えています。 一つ見つけたのは「タングステン」という金属です。 しかし、大変高価で加工は難しいようです。 安価な放射線遮蔽用金属知りませんか?
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どのような放射線をどの程度、どのように遮蔽しなければならないかを考えないと、適切な物を選ぶ事はできません。 放射線の遮蔽をするということは、物質により放射線のエネルギーをそぎ、十分に減速させるということです。すべての物質は、なんらかの減速作用をもっています。また、物質の量を増やせば、つまり遮蔽用の覆いの厚みをふやせば、より多く減速させる事ができます。しかし、一般により高エネルギーの放射線ほどより多く減速させないと行けないため遮蔽が難しく、また、用途から遮蔽材に対しどの程度の厚みまで許容されるかが大きく異なります。 例えば陽子崩壊という物理学の実験をするためには、宇宙から降り注ぐ放射線を遮蔽する必要があったため、地下の鉱山跡に装置を設置せざるを得ませんでした。これが小柴先生がノーベル賞を受賞されたカミオカンデが神岡鉱山跡に設置された理由です。一方、ある種の元素からでているアルファ線などでは、空気中を数センチ飛ぶだけで大きく減速されます。この場合など、家庭用のアルミフォイルでも十分な場合もあります。 半導体の保護ということですが、LSI製造プロセス中に基板を保護したいのか、それともトランジスタやメモリなどを宇宙線による誤動作から保護したいのかなどによっても材料の選択は大きく異なります。 まず、大事になるのは放射線の種類です。放射線は、 ・荷電粒子(電子線、原子線、その他荷電粒子) ・電磁波 ・中性子 の3種類に分類されます。この3種類のうち最初の二つは、電子や原子核等との電磁相互作用が減速の主因となります。そこで、単位体積あたりに含まれる電子や原子核が多い物質が有効となり、基本的には原子番号が大きく、かつ密度が高い物質が適切となります。 一方、中性子は電磁相互作用をしないため、原子核との相互作用を利用して減速させるしかないのですが、これに最も適しているものは、最も原子番号の小さい原子である水素で、一般には水の形で利用されます。 ともかく、遮蔽すべき放射線の種類とエネルギー、それに最終的に減速して達成すべきエネルギーを考え、次に利用できる厚みを考えて、その厚みで減速するために必要な能力(阻止能とよびます)を計算し、それをもつ元素から選択するという手順になります。 もし遮蔽すべき対象が、何らかの放射線発生装置か、人為的に配置した放射性同位体であるならば、それらを取り扱うために、必ず放射線取扱主任者がおられるはずで、その方ならば上記の計算をする知識を必ずお持ちです。 もし遮蔽すべき対象が宇宙線やラドンなどの自然放射線であり、まわりに主任者の方がいないならば、たとえば放射線取扱主任者用のテキストなどで学習してみてください。
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- sanori
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みたび失礼します。 間違えました。 pdfではなく、パワーポイントのファイルでした。 http://acc-physics.kek.jp/soken/CORECARRI'05/Hirayama/HirayamaLecture.ppt
- sanori
- ベストアンサー率48% (5664/11798)
再びお邪魔します。 書き忘れましたが、 先ほど引用したリンクのうちの1つは、pdfファイルなので、 ダウンロードしてから閲覧されることをお勧めします。 http://acc-physics.kek.jp/soken/CORECARRI'05/Hirayama/HirayamaLectu... ・・・これ、書いておかないと、 スタッフの方に削除されてしまうかもしれないので ^^;
- sanori
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放射線関係、半導体関係ともに経験あります。 すでに#3さんが詳しく回答されていますが、 補正すべき点を含めて説明させていただきます。 【α線、重粒子線】 天然のα線のエネルギーは、総じて10MeVであり、それの空気中での飛程は10cm以下程度。 気体と固体とでは、阻止能が3桁違うので、10cmの1000分の1、つまり、0.1mmぐらいの厚さがあれば遮蔽できます。 重粒子線については、さらに薄くても遮蔽できます。 【β線】(=電子) α線と同じ考え方ですが、α線より飛程が長いので、上記に比べて少なくとも2桁以上の厚みが必要です。 さらに注意しなくてはいけないのが、物質が阻止能によって電子を減速するときに、「制動輻射」(せいどうふくしゃ)という現象によってX線が発生し、β線を止めたのはいいが、その代わりX線が照射されるということになります。 「半導体」がたとえば、フラッシュメモリやEEPROMであれば、X線によるエラー発生が想定されます。(定量的なことは知りませんが・・・) 【γ線】(電磁波) 物質中を通過するとき、γ線はエネルギーを段々失うのではなく、「軌道電子にぶつかって死ぬか、それともぶつからずに生き残るか」の確率現象になります。 「阻止能」は単位通過距離毎のエネルギー減速という概念ですから、一次関数的です。 しかし、γ線の場合は上記の通り「死ぬか生きるか」ですから、物質内を通過していくごとに、指数関数的に減衰していきます。 (可視光が1枚のガラスを通ったとき50%に減衰するならば、2枚通過すれば25%に、さらに3枚通過すれば12.5%になるのと同じです。可視光もガンマ線も電磁波なので、程度の大小はあれ、基本的には同じになります。) ですから、γ線について「阻止能」という考え方はしません。 γ線を遮蔽するには、やはり鉛ですが、鉛であっても10cm程度は必要。金属であれば、もっと厚くしないとしないといけないことになります・・・ 【中性子】 「半導体」がDRAMやSRAM(それらを内蔵したASICやMPUも含む)ですと、中性子が照射されるとソフトエラー(ビットエラー)を起こします。 (中性子が半導体チップ内の原子核などに当たって、α線や重粒子線が発生するため) #3さんのおっしゃるとおり、水素が多く含まれたもの、つまり水が有効ですけど、水を使うのが現実的に無理であれば、パラフィン樹脂を使う手があります。 <注意事項> 保護する金属にウランやトリウムが含まれていると、通常の核崩壊によりα線が発生します。 ウランやトリウムを祖先とする崩壊系列(子、孫、ひ孫・・・)も合わせて考えなくてはいけないので、α線の発生数は祖先単独での放射能の何倍にもなります。(「放射平衡」といいます。) よって、上述したソフトエラーを考慮すべき場合は、金属中のウランとトリウムの量を知らないといけません。 ppmどころかppb程度だけ含まれていても問題になるケースがあります。 以下、参考にしました。 http://www.ne.jp/asahi/radioactivity/mineral/use/use2.htm http://acc-physics.kek.jp/soken/CORECARRI'05/Hirayama/HirayamaLecture.ppt
鉛は重いので落として怪我などしないように注意してください。
- debukuro
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安価な放射線遮蔽用金属知りませんか? 鉛です。 タングステンなんてものは高価という前に加工が困難です。