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(平安時代)「娘」と「女(むすめ)」の使い分けは?
「鶯宿梅」の意味を調べていて「大鏡」の「鶯宿梅の故事」の段に辿り着きました。ここには「貫之のぬしの御女」という記述が見えます。そういえば更級日記の作者も「菅原孝標の女」です。「女」を「むすめ」と読ませるのはよいとして、手元の古語辞典によると「源氏物語」には既に「娘」の使用例があります。 さて質問です。 「娘」と「女(むすめ)」の使い分けには意味があったのですか。未婚、既婚で使い分けるとか、父親や当人の身分によって使い分けるとか何らかの理由がありましたか。旁の「良」の有無は意味深長というか露骨というか、冗談としてなら幾らもが使い分けができそうですが本当のところはどうだったのでしょう。 また、今日では「むすめ」は「娘」と書き「女」の字は当てません。全員、平等に格上げされたみたいですが何時頃から「娘」に統一されたのですか。もしも判っていれば教えて下さいませ。 よろしくお願いします。
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- 莽翁寒岩 一笠一蓑一杖(@krya1998)
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- sasanohasa
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補足
補足ではありません。お礼の欄には書き切れないので、ここに記します。 そもそもは「鶯宿梅の故事」すら知らず、古語辞典の凡例も読まない人間の不完全な質問に対し、専門的な回答を寄せて下さって恐縮しています。 1 「新字源」、ご紹介下さった各「節用集」の代用として「五本対照改編節用集(亀井 孝他、勉誠社)」の「女」と「娘」の項、「大鏡」の裏書の3点は通覧しておきました。 2 試みに、ご紹介下さった参考URLのサイト内のhttp://www.genji.co.jp/kensaku.htm(*)で新編日本古典文学全集「源氏物語」(小学館)を選択して「娘」を検索し、その結果を参考にして実際に6分冊の書籍で確かめてみました。4箇所には「娘」が登場していましたが何れも読者の便を目的に、誰の発言であるかを明示するために校注者が記したものであって、底本に「娘」はなかったと考えられます。 3 2と同様のことを「源氏物語大成」大島本でも実行するべきですが、今のところ、この書籍を入手できず、確かめていません。 4 「枕草子」日本古典集成(新潮社)について2と同様のことを実行した結果、次の二例が見つかりました。 第94段225-09 上「そのわたりの家の娘など、ひきもて来て、五六人して扱かせ、」 第99段250-05 上「あな、恥づかし。かれは、古き得意を。『いと憎さげなる娘ども持たり』ともこそ、見はべれ」 二例とも今日の、他家の若い女性を指すときの使い方に近いように感じています。 5 (*)に掲載されている書籍の全てについて、前項4の二例以外には「娘」の使用例を検索できませんでした(手元のPCに限って言えば、書籍に「ぬ」があり、しかも、ある条件が重なったときは文字化けし?「・b>娘」の形で「娘」が登場している)。 6 (*)で「源氏物語大成」大島本を選択しても、他を選択しても「むすめ」を検索すると大量にヒットします(ヒットしない作品もなくはない)。 7 (*)で「源氏物語大成」大島本を選択しても、他を選択しても「女」を検索すると大量にヒットします(ヒットしない作品もなくはない)。しかし、振り仮名がない場合が多く「むすめ」と読むのか「おんな」と読むのか必ずしも判断できませんでした。 8 >>「某女」「某の女」という表現は、・・・意味が当時濃厚に残っていたとすればなおさらです。 この部分は理解できた積もりです。 9 今日では庶民の家庭でも「奥さん」であり、女子の名には「姫」すら散見されます。「娘」の意味が平安時代より拡大、普及したのは当然だと思います。 有り難うございました。またの機会にも、よろしくお願いします。 20日(日)24時までに、どなた様からも新たな寄稿がないときは、当方の都合のよいときに締め切ります。