「検出器の量子効率」と言う言い方はあまり正しくありません。
入射光子とシンチレータの相互作用で発生した可視光(シンチレーション光)への(エネルギー)転換率が「シンチレーション効率」で、これが光電子増倍管の光電陰極に入射し、光電効果による光電子への転換率が「量子効率」と呼ばれるものです。
量子効率が直接効いて来るのはそのエネルギー分解能です。なんとなれば検出器への入射光子のエネルギー当たりどれだけの電荷キャリアが生成されるかというのがエネルギー分解能に関わってくるからです。従って荷電キャリアを生成する光電面においてその量子効率が低い事は分解能劣化を引き起こします。
単純に「いくつの光が検出器に入射したか」という測定ならば
・積算時間
・光子のゆらぎ
・ノイズ
は正しいとも言えますが、現実的には有り得ません。
検出器への入射光子1個につき転換光子が1個しか生成されないならば当然光電面に入射したものがそれぞれの量子効率によってカウント数が決まってくるでしょう。例えば100個入射→40個カウント、100個入射→80個カウント、と言う具合にです。同じ時間の計測ならば√2倍の相対誤差の改善が見られます。ノイズは関係ありません。しかし同じカウントだけ取れればいいと言うなら当然計測時間は1/2で済むのでノイズレベルも半分に減りますよね。
しかし現実には、数MeVのエネルギーを持った光子が入射すれば数万のシンチレーション光が生成し、それが光電陰極に達し、量子効率によって40%或いは80%の光電子に転換されます。「数万の入射光子が40%或いは80%の確率で光電子に変換される時、全てが変換されない確率」なんてのは数学的には存在しますが現実的には0ですね。二項分布P(0;数万,40% or 80%)です。数万=50000、p=0.4としても
P(0;50000,40%)=(0.6)^50000<10^(-11000)
と、もはや物理的には0です。従って、この目的の測定においては、量子効率による統計のゆらぎは全く存在しないと言っていいでしょう。
お礼
ありがとうございます。 今回の話は、CCDなどの量子型検出器についての話でした。説明不足で 申し訳ありません。 検出器の評価として量子効率があり、それが高いほど良いといわれる理由が わからないのです。結局uhyohyohyoさんがおっしゃる通り、√2倍の相対 誤差と、計測時間の短縮によるノイズレベルの低下がその恩恵になるので しょうか?