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グラフェンにおけるゼロ質量キャリアについて
グラフェンにおけるゼロ質量キャリアについて、 お聞きしたいことがあります。 グラフェンのバンド構造で、ディラックポイント付近の分散は線形分散E=|hbar*k|*vFとなりますが、 この分散関係から有効質量を決定するにはどのように計算すればよいのでしょうか? 教科書に載っている式に代入してみたところ、有効質量が無限大となってしまいました。 よろしくお願いします。
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- coffee9125
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完全な「専門家」ではないのですが、物性物理のこの周辺の分野の人間です。 SiやGe、GaAsと言った半導体のバンド構造を考えてください。有効質量という概念は、エネルギーバンドの下端(数学的には極小)や上端(極大)のごく近傍を、(1階の微分がゼロなので)これを波数の2次でフィッティングしたときに登場するものです。有効質量の定義式が2階の微分の逆数になってるのはそのためだと思います。 これは、真空中の電子の分散からのずれを質量に押し付けた形になってます。このように、「真空中の電子とずれた質量の粒子」として物理を考えることを有効質量近似と言い、半導体の分野ではよく使われます。 グラフェンのような線形のバンド構造をしているようなものに、2階の微分から計算する公式を当てはめても意味がありません。グラフェンが質量ゼロであると言われているのは、線形の分散が光の分散と同じだからです。もちろんグラフェン中の電子が光速で運動している訳ではありません。有効質量近似によると、ディラックポイント付近のグラフェンの電子の波動関数(正確には包絡関数という)は、むしろ質量ゼロのニュートリノの(2次元の)ワイル方程式のような方程式に従うことが知られています。