非交差(A∩B)な集合A,Bに対して|A∪B|は、(i)|A|,|B|<∞のとき|A|+|B|、(ii)どちらかが無限集合のとき、max(|A|,|B|)になります。したがって実数の濃度が非可算である以上、無理数の濃度は非可算でなくてはなりません。
あるいは、無理数が可算集合だとすると、有理数の集合が可算であるから、P∪Qもまた可算集合になります。可算集合A,Bの合併A∪Bが可算集合になることは、たとえばA={a1,a2,…}、B={b1,b2,…}として番号付けして、A∪B={a1,b1,a2,b2,…}と並べられることから明らかです。
さらに直接無理数全体が非可算であることを対角線論法で証明することもできます。すべての実数は標準連分数に展開できることが知られているので、実数a=[a0;a1,a2,…]と表記します。有理数は有限連分数、無理数は無限連分数です。そこで、無理数全体が可算だと仮定して、P={q1,q2,…}だとします。各qiを無限連分数に展開qi=[qi0;qi1,qi2,…]して、新たな無限連分数q=[0;(q11)+1,(q22)+1,…]を作ります。このqは無理数ですが、どのqiとも連分数展開のi項目が1だけ異なるので、集合P={q1,q2,…}に属さないことになります。これは無理数が可算集合と仮定したことによる矛盾です。
実数が非可算集合であることを証明するときは、自然数のべき集合と思えるから、|N|<|P(N)|=|R|を用いる方法と、実数の小数展開を利用した対角線論法が有名です。無理数全体の場合も同様に出来ますが、無理数の列から適当にいじって作った新しい元が、運悪く循環小数(有理数)になる可能性があるので(まあ適当にルールを変えればうまくいきますが)連分数展開を利用してみました。連分数をご存知なければ、適当にwebでも検索してみてください。
お礼
丁寧な回答ありがとうございます。 私はまだ、カントールの定理を使いこなせる レベルにはありませんが、zk43さんの回答を 参考にして証明できるようにがんばろうと 思いました。