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吸収スペクトルの形
ベンゼン蒸気と、ベンゼンを溶媒に溶かしたものでは吸収スペクトルの形が異なります。溶媒分子が影響しているのはわかるのですが、何故そのような形になるのでしょうか。教科書には「微細構造が観測されること無く、線が合併するため」とあるのですが、いまいちよく分かりません。宜しくお願いします。
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- koz7291
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うまく説明できるかどうか分かりませんが、こういうことだと思います。 ご質問の「吸収スペクトル」とは、おそらく紫外-可視吸収スペクトルのことだと思います。紫外線や可視光線は電磁波の一種です。分子のもつエネルギーによる電磁波の吸収は、そのエネルギーの大きさの順に、電子エネルギー、振動エネルギー、回転エネルギーとなり、電子エネルギーが紫外線・可視光線、振動エネルギーが赤外線、回転エネルギーがマイクロ波のエネルギーに相当します。この中では紫外線が一番波長が短く、周波数が大きい、すなわちエネルギーが大きい、という関係になっています。光の速さcと周波数ν・波長λの間の関係 c=νλ および、エネルギーEとプランク定数hとの関係 E=hν の式で表されます。 ベンゼン蒸気、すなわち気体のベンゼンの場合には、ベンゼン分子が空間中を飛びまわっているような格好になっていますので、分子が自由に回転運動をすると思います。そこが溶液中のベンゼンと大きく違います。回転運動と言っても、原子や分子の場合には、量子化と言って、あるとびとびのエネルギーをもつ回転運動しかできません(イメージ的には、ある決まったスピードでしか回転できない、ということを考えればよいでしょう)。それらの回転状態(回転エネルギー準位)の間を分子が移り変わる(遷移する)のに伴って、エネルギー、すなわち電磁波が吸収・放出されます。回転運動準位間のエネルギーの幅は、振動エネルギーや電子エネルギー(電子状態によるエネルギー)の幅より小さいので、スペクトルの上では、回転エネルギーのスペクトル線の幅は、細かく、ギザギザの線のように観測されます。 ご質問文の、「微細構造が観測される」というのは、気体状態だと回転エネルギーの吸収が顕著に観測されるので、紫外-可視スペクトルの上に、さらに細かい線幅の回転スペクトルが重なり、ギザギザの線になって見える、ということだと思います。一般的に、気体のスペクトルはギザギザになって見えます。このギザギザの線を微細構造と呼ぶようです。 こんな説明しかできませんが、要は、気体の紫外-可視吸収スペクトルでは、溶液状態と違って回転スペクトルが重なって観測されるので、微細構造が観測されるが、溶液ではそれが(気体ほど顕著に)観測されないため、微細構造が観測されない(されにくい)、ということだと思います。回答者も今一つうまく説明できませんので、ご自身でもう少し勉強されて、補って下さい。
お礼
分かりやすい説明ありがとうございました!微細構造についてイメージがつきました。溶媒分子との関係について、もう少し調べてみようと思います。