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化学エネルギーの値
物質が有する化学エネルギーの値は、物質によって(例えば、CO2は○○kJ/mol,H2は△△kJ/mol)と決まっているのでしょうか? また、決まっているのであれば、一覧が掲載されているHPや書籍を教えてください。 最初、化学エネルギー=生成熱かと思ったのですが、これでは単体のO2やH2のエネルギーがOになってしまい、イメージ的にも変かなと思い、じゃぁ化学エネルギーってどうやって数値化してるのか気になってます。
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「化学エネルギー」という言葉で定義されているものは、私の知る限りでは、ないと思います。「化学ポテンシャル」というものがありますが、ちょっと意味が違います。 それでは、「CO2は○○ kJ/mol」とか、「H2は△△ kJ/mol」などという値は、意味は分かるのですが、何と比べてそれだけの値になるか、比較の基準を決めないと値が決まりません。 例えばCO2を例にとれば、何もない真空の状態に対して、CO2が1 mol存在するためにどれだけのエネルギーが必要か、ということを考える場合では、比較の基準は「何もない(物質が存在しない)真空の状態」になりますが、そこから1 molのCO2がどうやって生じるか、生成の過程をすべて考えなければなりません。原子状の炭素や酸素から生じるのならば、それらの生成にかかわるエネルギーを考えなければなりませんし、どういう状態で存在しているのか、その温度・圧力も規定しなければなりません。 (温度・圧力は、普通標準状態というものを考えるのですが、これも昔は0 ℃・1 atmでしたが、1982年頃から標準圧力は10^5 Paに変わったと思います。温度は0 ℃としたり、25 ℃としたりするようです。国際純正応用化学連合、略称IUPACという国際機関が決めていると思います) その目安の一つとして、標準生成エンタルピーというもの値が測定・計算されてきています。生成エンタルピーと生成熱は似ていますが、違うところは、生成熱は分子なり原子なりに対して外部から見た値ですが、生成エンタルピーの方は、分子・原子そのもの(これを一般化して、「系」とよびます)から見た値です。すると、符号が逆になります。例えば、生成熱が+50 kJ/molならば、生成エンタルピーは-50 kJ/molになります。「系、すなわち原子や分子の集まりが50 kJ/molのエネルギーを失い、外界に50 kJ/molのエネルギーを放出する」という意味です。 標準生成エンタルピーも、当然何を基準にして値を決めるか、を決めないといけませんが、その基準が、単体なのです。ですから、どうしても単体であるO2やH2の生成エンタルピーは0になります。単体の場合も、他の物質に対してどれだけ大きいか、小さいか、0という値を用いて比較することはできるので、人間がそう決めたのです。特異な例として、炭素Cの場合は、単体がグラファイト(黒鉛)とダイヤモンドの2つあります。確か、グラファイトの方を基準にとっていると思います。各物質の標準生成エンタルピー、すなわち各物質がもつエネルギーも、相対的な値なので、基準の決め方によって値が決まる、ということです。 文献は、古くは"International Critical Table"というデータ集など、物理化学関連の文献がいろいろあると思いますが、日本化学会編集の「化学便覧」が一番適切ではないでしょうか。少なくとも、中学校の理科に出てくるくらいの物質については、標準生成エンタルピーの値が載っていると思います。化学の本が置いてある図書館なら、必ずあると思います。HPについてはよく知りませんが、日本では独立行政法人の産業技術総合研究所の計量標準センターのサイトなどにあるかもしれません。「産総研」や「計量標準総合センター」などのキーワードで検索すれば、見つかるかもしれません(見つからなかったらごめんなさい)。
お礼
ありがとうございました。やっぱり自分も考えた通りでした。中学校で教える化学エネルギーは、何もない状態から比べてのエネルギーだと思います。今日、化学便覧を久しぶりに見てきたのですが、やはり生成エンタルピー等からは割り出せないと諦めました。