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GM計数管によるβ波の吸収測定
この実験において、ストロンチウム90の最大エネルギーを出したのですが、文献値が2.29MeVに対して測定値が2.12MeVとなり少し小さい値をとってしまいました。 これはなぜなのでしょうか? ストロンチウムがすでにβ崩壊を終えて他の物質になってしまっているのでしょうか。 それとも他に、実験において何か問題があるのでしょうか?
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計数のグラフ(吸収体の厚さ×計数値かな?)を外挿し、得られた吸収体の厚さを求めたわけでしょうか。フィーザーの式というのはベータ線阻止能の近似式でしょうか。dE/dx=f(E)の形で与えられたとすれば、直接積分か、或いは解析的に求まらない時は計算機で数値積分でしょうね。 これらを聞いた限りでは、問題点として(1)外挿の妥当性(2)計数値の統計誤差(3)フィーザーの式の標準偏差、或いは系統誤差(4)実験が完全でないことに対する補正、を考えねばならないと思います。実験から値を得たものは必ず誤差付で評価をせねばなりません。たとえば、原理的にこの実験の精度を10%以下にはできない、なんてことであれば測定値(2.12+-0.2)MeVとなり、得られた値は妥当であると評価できるでしょう。(1)外挿が正しく行われていなければそこに系統的な誤差が生じます。(2)ベータ線スペクトルは最頻値が最大エネルギーの約1/3の所に来て以後減っていきますから高エネルギー側の計数としては統計がかなり少なくなるのではないでしょうか。ただこの実験方法は外挿によって求めるようなので誤差の評価はやや難しいですね。確立された評価方法があればいいのですが、なければ自分でこの方法で評価したと明示しておく必要があります。(3)飛程から直接出すのであれば、標準偏差は与えられていればそのまま使えると思います。(4)空気の吸収とか考えなくて大丈夫な実験ですか? これらを総合的に評価する事が必要です。
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- wmaru
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書き忘れたので補足しておきますね。 放射性崩壊と原子核についてまだ勉強し始めたばかりの様子ですので簡単に説明します。放射性崩壊は不安定な原子核α線(ヘリウム原子核)、β線(電子線)あるいはγ線(電磁波、光子)放出(その他軌道電子捕獲など競合過程がアリマス)を伴って崩壊する過程を言います。それは完全に確率に支配されており、その確率(崩壊定数:λ)に従って放射能は減衰していくわけです。その確率は各原子核に固有な値であり、Sr-90はおよそ29年で半分になるわけです。Sr-90は29年の半減期をもってY-90となり、これはもっと短い半減期(64時間)でZr-90の基底状態に直接崩壊(ほぼ100%)します。その時に所望の最大2.29MeV(最新の文献値では2.28MeV)β線を放出します。したがって初期状態の線源がもし完全なSr-90だとしたら(本当はあり得ませんが)、中身はSr、Y及びZrの3つの元素で構成されているはずです。その他の物質ができているということはあり得ません。(これも厳密に言えば、宇宙線などがひょっとしたら核反応を引き起こしているかも知れませんが…、まあ確率的に無視して差し支えありません)したがって、Sr-90のみが用意されているのであればその2.29MeVβ、SrがYに崩壊する時の546keVβ、YがZrの励起準位に崩壊し、それが基底準位に落ちるときの(かなり微小量なので気にする必要はないでしょう)γ線(エネルギーは3種類)のみが存在しています。 ちなみに、寿命というのはT1/2÷0.693のこと。1/eの強度に減衰する時間のことです。
- wmaru
- ベストアンサー率20% (2/10)
まず、GMでエネルギーを測定するというのが分からないのですが、どのようにやられたのでしょう?GMは電子なだれを起こしてカウントだけを見る道具なのでエネルギーは測定できないハズ…。 >ストロンチウムがすでにβ崩壊を終えて他の物質になってしまっているのでしょうか 確かにほかの物質になっているんですが、T1/2は29年ですしねえ…
補足
回答ありがとうございます。 GMで直接エネルギーを測定したのではなく、まずは係数値nと吸収体(Al)の厚さxの吸収曲線を描き、そのグラフから、最大飛程をもとめ、そこから最大エネルギーをフィーザーの式に当てはめて算出しました。 ほかの物質になっているんですが、T1/2は29年ですし・・・このあとにも言葉を続けてなるべくくわしく回答願います。
お礼
ありがとうございます。 分かったような気がします。誤差については、自然放射線しか考えていませんでした。標準偏差は考慮していたのですが、統計誤差について実験結果を見直して、もう少し検討してみます。