なかなか面白い、ご質問だと思います。これについては、いろいろな考え方が出来るとは思いますが、ある物理量をベクトル表示する場合を考えて見れば分かりやすいのではないでしょうか。例えば、速度は
V=(Vx)i+(Vy)j+(Vz)k
となりますよね。ベクトルの成分Vx,Vy,Vzは単なる数値です。この数値(成分)は基底のとりかたによって、変わります。ベクトル量をベクトル表示するときに大切なのは、基底およびそれに付随する単位の選び方なのです。このことは、行列表示についても同様です。経済学でもベクトルや行列が使われますが、やはり、大切なことは基底・単位の選び方です。しかし、最初に基底と単位を選べば、行列やベクトルの式に単位を記入する必要はありません。
ご質問の、「kmという単位は、ベクトル成分Ax,Ay,Azに付くのか、それとも単位ベクトルi,j,kにつくのか」については、そのどちらでもありません。物理のベクトル量には各成分に同じ単位がつく場合が多いのですが、多変量解析等で使われるベクトル量としての変量では、各成分の単位が異なる場合が多いのです。例えば(身長cm,体重kg)をベクトルとした場合です。この場合は、
(Axcm,Aykg)=
Ax(1cm,0kg)+Ay(0cm,1kg)
ですよね。この場合、i=(1cm,0kg),j=(0cm,1kg)
ですから、単位はi,jにつくのではなく、i,jの内部に含まれているのです。また、(Axcm,Aykg)を見ると、単位はAx,Ayについているように解釈できますが、Ax(1cm,0kg)+Ay(0cm,1kg)を見ると、単位をAx,Ayにつけることは出来ません。
以上のことから、「kmという単位は、ベクトル成分Ax,Ay,Azに付くのか、それとも単位ベクトルi,j,k につくのか」の回答は、
(Axkm,Aykm,Azkm)=
Ax(1km,0km,0km)+Ay(0km,1km,0km)+Az(0km,0km,1km)+Az(0km,0km,1km)
ということになります。単位は(*km,*km,*km)のように、括弧内の成分につくのです。ですから、Axkmやjkmは誤りです。
お礼
>>多変量解析等で使われるベクトル量としての変量では、各成分の単位が異なる場合が多いのです。例えば(身長cm,体重kg)をベクトルとした場合です。 なるほど、だから(Ax,Ay,Az)のような、 括弧をつかった成分表示にしか単位はつけられないんですね! ojisan7さんの言うように、A=(Ax)i + (Ay)j + (Az)k の場合、単位がijkの“内部”に含まれていると考えることで納得できました。 貴重な意見ありがとうございます。