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日本での風について
北半球の低緯度地域ではコリオリ力によって東(北東)からの貿易風、中緯度地域では西(南西)からの偏西風が吹いていますよね? 加えて日本では比熱の違いによって夏は海から、冬は大陸から風が吹きますよね。 つまり日本では基本的に偏西風が卓越しているが、夏は季節風によって東からの風もふくということですか?貿易風は関係ないんですか? それと春先に見られる黄砂は冬の季節風と偏西風両方の力によって運ばれるということなんですか? この辺のことが複雑でよく分かりません。分かる方いらっしゃいましたら教えてください。 よろしくお願いいたします。
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ポイントは二つです。 ・偏西風は上空の風、季節風は地上の風 ・日本の季節風は季節風の典型例とは言えない 以下で説明していきますが、ちょっと内容を詰めすぎたため分かりにくいかも知れません。 500hPaの天気図を見たことはありますでしょうか。 http://n-kishou.com/ee/weather/faxmap/map_koso1.html 季節によりますが、日本付近ではだいたい5~6千メートル上空の気圧配置を示す図です。 その図を見ると、北から南に向かってだいたい等間隔に東西に伸びる線が並んでいるのが分かると思います。 上空での風は、この等気圧線に平行に吹きます。いわゆる一つの地衡風です。 したがって、ここでは西から東へと風が吹いていることになります。(この理由については地衡風について別途勉強してください) 上空の気圧は、中緯度では一年中だいたいこのように北から南に向かって並んでいます。 このように、上空で年中吹いている西風を偏西風と呼んでいます。 なお、850hPaの天気図でもおおよそ東西に伸びる線が日本付近を覆っているのが分かると思います。 雨雲を運ぶのはこのあたりの高度の風でしょう。 850hPaだとまだまだ地上の影響を受けますが、だいたい年中西風傾向のようですね。 次に、冬の季節風についてです。 これは、冬になるとシベリアあたりが非常に良く冷え込むので、そこから強い風が吹き出ることで起こります。 ですから「陸が海より冷えるから」という説明でも悪くない。 シベリア高気圧は「背の低い高気圧」ですので、地上付近の風しか作り出しません。ですから偏西風とは関係ないものと考えてください。 では夏の季節風はどうかと言うと、こちらは地球規模の大循環が関係しています。 夏には熱帯側の天気が北へとシフトしてきます。 その結果、日本のすぐ南のあたりに中緯度高圧帯(偏西風と貿易風の境目付近にある高気圧エリア)が来ます。 この高圧帯の一部が太平洋高気圧で、これが日本を覆うことによって日本の夏の天気は成り立っているのですね。 で、日本から見て南東の方に中心を持つ太平洋高気圧から吹き出る風のことを、南東の季節風と呼んでいるわけです。(若干ずれますけどね) ですが、基本的に高気圧は気圧の変化が少ないので、風は季節風と言うほど強くありません。 じっさい、夏に風の強さを感じることはあまりないでしょう。風鈴がちりんと鳴るときくらいですよね。 なお、太平洋高気圧は「背の高い」高気圧ですが、上空では地衡風が吹く結果として風向きは西風になっているようです。(他の季節と比べると弱いですが) 貿易風のエリアは日本の主要四島までは上って来ません。 というわけで、日本の夏の風は季節風と言うにはちょっと特殊です。 高校受験までなら、日本の季節風は比熱によるものと説明しても正解と判断されると思いますが、高校以降ではそれではやや不正確です。 陸と海との気温差からできる季節風は、モンスーン型気候の方が典型的です。 モンスーン型気候では、夏には海から来た風で大雨が降り、冬は陸からの風で乾燥します。 こちらは比熱の違いによる原理で説明して構いません。 また、黄砂を運ぶのは偏西風です。 冬の季節風はシベリアからですからモンゴルより北から吹く風ですが、黄砂は中国の中部以西から運ばれる粒子ですからそれより南です。 ジェット気流に乗って日本まで来ると聞いたことはありますが、経路の特定はこれからの作業だったと思います。 専門家ではないためちょっと資料が足りないのですが、そんな感じです。 むしろ混乱させてしまいましたか? (- -; とにかく、偏西風は上空の風で季節風は地上の風だから問題ない、ということですね。貿易風は関係なしです。 (偏西風は自転の影響という話は物理的には正確でしょうが、大気の循環という現象を捉えるのには不向きと考えますので、地衡風で説明しています。不満に思わないでくださいね)
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- TaRSu
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>「上空では~南東から風が吹く」 おおよそそんな感じの説明のつもりでしたので、ご理解いただけたようでありがとうございます。 ただ、こちらの言葉不足だったのですが、地衡風は局地的な風向きを考えるためのモデルなので、偏西風の存在は確認できますが、その原理を説明しているとはちょっと言えませんね。 偏西風の原理はやはり大循環に求めた方が正確です。失礼しました。 > これは高度から考えても地上の風を反映しているということでいいんでしょうか? HYSPLITや後方流跡線についてはいっさい知らないですごめんなさい。 高層天気図を見ると、850hPa程度上空では既に地衡風になっているようですね(今日の850hPaは1400m程度の高度のようです)。 地上の風の影響…と言うより、このくらいの高さの気圧配置は地上のそれに近いものがあるから、と言う方がより正しいと思います。 しかし…HYSPLITってなんだかごついツールですね。いかにも研究用ですって感じがします。使い方もよく分からないし。 ヘルプでも読むことにします。
補足
丁寧な説明有難うございます。 つまり「上空では地衝風が吹いている。この地衝風は高気圧から低気圧への空気の流れが地球の自転に(コリオリ力)によって曲げられてここでは西から東にふいている風である。 それとは別に地上付近では冬はシベリア高圧帯、夏は太平洋高圧帯のはりだしによってそれぞれ北(北西?)、南東から風が吹く」ということでいいんですか? それとNOAAのHYSPLITというモデルを使って高さを500、1000、1500mに設定して後方流跡線を見てみたんですが 冬から春はシベリア、夏はから秋は太平洋、東南アジアに流跡線が伸びていることが多かったです。 これは高度から考えても地上の風を反映しているということでいいんでしょうか?