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「マルドロール」開店に反対した超現実主義者
1930年モンパルナスのバー「マルドロール」の開店に反対して、シュールレアリストたちの暴力事件が起こった。ルネ=シャールが負傷した。 と読みました。 (1)どうしてシュールレアリスト達は反対したのですか?何が気に食わなかったのでしょうか?
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開店に反対したというより、「マルドロール」という店名に一部のシュールレアリストたちが反発したということです。「マルドロール」とは、ロートレアモン著『マルドロールの歌』の主人公の名で、ロートレアモンは当時シュールレアリストたちに賞賛されていました。店主が親しいシュールレアリストたちに新しく開店するバーの名前を相談したところ、シュールレアリズム詩人デスノスの発案でこの名がついたとされています。 この事件の背景には当時のパリのシュールレアリストのグループの主義主張・活動方針を巡る分裂と対立があります。シュールレアリストのリーダー的存在だったアンドレ・ブルトンは出版物などで反対派を激しく非難攻撃しており、デスノスは彼と対立する立場にありました。 ロートレアモンの崇拝者であるブルトンは、「マルドロール」という命名に、自分たちへの揶揄を感じたようです。デスノスにそこまで悪意があったのかは不明ですが、シュールレアリストたちの対立とブルトンのロートレアモン崇拝とマルドロールの開店とを結び付け皮肉った記事が雑誌(新聞?)に載り、それを見て激怒したブルトンは、仲間十人ほどで開店2週間ほどのマルドロールに乱入、怪我人を出す乱闘になってしまったというのがこの事件です。 以上、清岡卓行『マロニエの花が言った』(新潮社)で読みました。