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体心立方格子の基本ベクトルと面指数の関係について
ある固体物理の本に体心立方格子の基本並進ベクトルは a_1 = a/2(-x+y+z), a_2 = a/2(x-y+z), a_3 = a/2(x+y-z) で、逆格子の基本ベクトルは b_1 = (2pi/a)(y+z), b_2 = (2pi/a)(x+z), b_3 = (2pi/a)(x+y) と書いてありました。 (ここで、通常の、球が中心にある立方体を考えたときに、 aは立方体の辺の長さ、x,y,zは立方体の稜に平行で互いに 直交している単位ベクトルです。piは円周率です。) このとき、(100)面というと、b_1を法線にもつ面だと思うのですが、 b_1は(y+z)の方向なので、立方体を斜めに切った面になって しまいます。 通常(100)面(又は(200)面)は立方体の側面で、上記の面は (110)面だと聞いたことがあります。 どこか大きく勘違いしているところがあるのではないかと思い、 質問させて頂きました。 どなたか教えて頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。
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- kenojisan
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これからの説明では、「単位ベクトル」や「単位格子」と「基本単位ベクトル」や「基本単位格子」の違いを注意してくださいね。 前者の「単位構造」とは、良く見慣れた立方体とその中心に球が有る構造を考えればOKです。従って、「単位ベクトル」も立方体の1辺の長さaの大きさを持った、x,y,z軸のベクトルです。 しかし、直ぐに分かると思いますが、この「単位ベクトル」を使ったのでは、立方体の中心位置の球の位置を表せません。つまり、3つの基本ベクトルの整数の一次結合で全ての球の位置を表せる、という結晶の並進対称性の原則が成り立たないのです。これは、「単位格子」の中には球が2個含まれることからも分かりますが、<基本>単位構造にはなっていないからです。 「基本単位格子」とは、基本単位ベクトルで囲まれた結晶の最小単位の構造のことで、その中には球は1つしか含まれていませんし、基本単位ベクトル分の並進移動の繰り返しによって、結晶全体を隙間無く再現することができるものでないといけません。 この、基本単位格子の取り方はいくつも可能なのですが、体心立方格子の場合の分かりやすいひとつの取り方が、あなたが参考書で見られた3方向の体心球へ伸ばしたベクトルを使う方法です。逆格子の方も、その「基本単位ベクトル」に対して作られたものです。 しかし、このような「基本単位格子」では直感的に格子構造が分かりにくいので、通常は球を2個含む「単位構造」を持った「単位格子」というもので考えます。X線回折のデーターベースなども、この「単位構造」で記述されているので、体心立方の場合には、x,y,z各軸に平行で長さaのベクトルを基準にして、(l,m,n)面と規定しています。当然、逆格子もそれを基準にします。 しかし、これらのベクトルはこの構造の本当の最小繰り返し周期になっていないので、回折現象などでは消滅則なるものを考えないといけなくなります。例えば、体心立方だと(200)面反射は有りますが、(100)面反射は無くなるという現象です。また、繰り返し構造を良く考えないと、立方体の頂点位置の球と中心位置の球は、等価な存在では無いのではないか?などという勘違いも起きやすくなります。
お礼
大変良く分かりました。基本単位格子の取り方にも任意性があり、また、周期構造を表すのに、便宜的に(分かり易いため)基本単位格子以外を用いることがあるということなんですね。確かに体心立方格子の場合、おっしゃられた基本ベクトルを用いれば、逆格子ベクトルも方向が一致するので、分かり易いですね。この場合は消滅則に当てはまらない最も面間隔の広い面は(110)面ということになりますね。 早急なご回答どうも有り難うございました。