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単純立方格子の面間距離

格子定数がaの単純立方格子で、ある面(hkl)に隣接する面間距離dは d=a/√(h^2+k^2+l^2) と表されますが、なぜこのように記述できるかが分かりません。 自分でも図を書いていろいろと考察してみましたが、どうにも解決できません。 どのように考えるとこの式を導出できるのでしょうか? もしどなたかお詳しい方がいましたら、ヒントを教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いします。

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  • Umada
  • ベストアンサー率83% (1169/1405)
回答No.1

onuさんこんにちは、以下は以前に私が類似の質問(http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=578682)に回答した内容を再編集したものです。 「格子定数」「ミラー指数」などと出てくると構えてしまいますが、この問題の本質は3次元空間での簡単な幾何であり、高校生の数学の範囲で解くことができます。 固体物理の本では大抵、ミラー指数を「ある面が結晶のx軸、y軸、z軸を切る点の座標を(a/h, b/k, c/l)とし、(h, k, l)の組をミラー指数という(*1)」といった具合に説明しています。なぜわざわざ逆数にするの?という辺りから話がこんがらがることがしばしばです。 大雑把に言えばミラー指数は法線ベクトルのようなものです。特に単純立方格子であれば法線ベクトルと全く同じになります。すなわち単純立方格子の(111)面の法線ベクトルは(1,1,1)ですし、(100)面の法線ベクトルは(1,0,0)です。法線ベクトルなら「ミラー指数」よりずっと親しみがあり解けそうな気分になると思います。 さて(hkl)面に相当する平面の方程式を一つ考えてみましょう。一番簡単なものとして hx + ky + lz=0  (1) があります。(0,0,0)を通る平面で法線ベクトルは(h,k,l)です。 これに平行な、隣の平面の式はどうでしょうか。 hx + ky + lz = a  (2a) hx + ky + lz = -a  (2b) のいずれかです。(a>0とします)これがすぐ隣の平面である理由(そのまた間に他の平面が存在しない理由)は脚注*2に補足しておきました。 点と平面の距離の公式を使えば、題意の面間隔dは原点(0,0,0)と平面(2a)あるは平面(2b)の間隔としてすぐに d=a/√(h^2+k^2+l^2)  (3) と求められます。 点と平面の距離の公式を使わなくとも、次のようにすれば求められます。 原点Oから法線ベクトル(h,k,l)の方向に進み、平面(2a)とぶつかった点をA(p,q,r)とします。 OAは法線ベクトルに平行ですから、新たなパラメータtを用いて p=ht, q=kt, r=lt  (4) の関係があります。tはもちろん実数です。 Aは平面(2a)上の点でもありますから、(4)を(2a)に代入すると t(h^2+k^2+l^2)=a t=a/(h^2+k^2+l^2)  (5) を得ます。 ここにOAの長さは√(p^2+q^2+r^2)=|t|√(h^2+k^2+l^2)なので、これを(5)に代入して |a|/√(h^2+k^2+l^2)  (6) を得ます。OAの長さは面間隔dにほかならないので、(3)式が得られたことになります。 *1 (h, k, l)の組が共通因数を持つ場合には、共通因数で割り互いに素になるようにします。例えば(111)面とは言いますが(222)面なる表現は使いません。 *2 左辺はhx+ky+lzでよいとして、なぜ右辺がaまたは-aと決まるのか(0.37aや5aにならないのは何故か)は以下のように説明されます。 平面をhx+ky+lz = C (Cはある定数)と置きます。この平面は少なくとも一つの格子点を通過する必要があります。その点を(x0,y0,z0)とします。 h,k,lはミラー指数の定義から整数です。またx0,y0,z0はいずれもaの整数倍である必要があります(∵格子点だから)。すると右辺のCも少なくともaの整数倍でなければなりません。 次に右辺の最小値ですが、最小の正整数は1ですから平面hx + ky + lz = aが格子点を通るかどうかを調べ、これが通るなら隣の平面はhx + ky + lz = aであると言えます。このことは次の命題と等価です。 <命題>p,qが互いに素な整数である場合、pm+qn=1を満たす整数の組(m,n)が少なくとも一つ存在する <証明>p,qは正かつp>qと仮定して一般性を失わない。 p, 2p, 3p,...,(q-1)pをqで順に割った際の余りを考えてみる。 pをqで割った際の余りをr[1](整数)とする。同様に2pで割った際の余りをr[2]・・・とする。 これらの余りの集合{r[n]}(1≦n≦(q-1))からは、どの二つを選んで差をとってもそれはqの倍数とは成り得ない(もし倍数となるのならpとqが互いに素である条件に反する)。よって{r[n]}の要素はすべて異なる数である。ところで{r[n]}は互いに異なる(q-1)個の要素から成りかつ要素は(q-1)以下の正整数という条件があるので、その中に必ず1が含まれる。よって命題は成り立つ。 これからすぐ隣の平面はhx + ky + lz = aであると言えます。 参考ページ: http://133.1.207.21/education/materdesign/ ここの講義資料から「テキスト 第3章」をダウンロードして読んでみてください。(pdfファイルです)

onu
質問者

お礼

早速のご回答ありがとうございます。 とても丁寧な説明でよく分かりました。 単純立方格子ではミラー指数を法線ベクトルとして考えればいいということは知りませんでした。 非常に参考になりました。

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