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酵素と金属触媒と
金属触媒には金属触媒の、酵素には酵素の良い点、悪い点があると思います。最近、3~5のアミノ酸が結合したペプチドと、遷移金属とが錯体を形成して触媒反応が行われている例を見かけます。この利点、欠点ははなんなんでしょうか。どなたか詳しい方、お教え願えください。
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酵素反応の選択性には、人間の作った人工触媒はまだまだ及ばない、というのが現状です。 ある特定の基質のみを選び出し、ある特定の反応だけを選択的に起こす、という点で、酵素ほど優れた触媒は無いというのが現状でしょう。 しかし、酵素には欠点もあります。 タンパク質からできていますから、熱変性すると終わってしまいます。 すなわち、体温程度の温度よりも反応温度は上げられない。 特異性が極めて高い、ということは、逆に言えば汎用性が低い、ということにもなります。 少し構造の違う分子だと全く反応が進まないという酵素の選択性は、逆に考えると、なんにでも使える触媒にはなってくれないのね、という欠点でもあります。 もちろん、シトクロームP451酸化酵素のように、酵素の中には広範な基質に対し高い活性を持つものもたくさんありますが。 人間の作る触媒は、分子設計して作っていますから、原理的には自由度は無限大です。 分子構造や反応機構に関する検討、さらに酵素の活性メカニズムに関する知見を基にして、こうすればうまくいくんじゃない?という仮説を立て、分子設計し、うまくいったから次にフィードバックしよう、という繰り返しで日々進歩しています。 酵素反応では対応できない反応、基質に対しても、有機合成化学者の努力でいつかは触媒化が達成できるだろう、という将来性が人工触媒の魅力でしょうか。 ちなみに質問者さんはペプチドー金属の組み合わせを提示されていますが、金属の配位子はそのほかにいくらでもあります。 ホスフィン、アミン、アルコキシド、・・・ こういった自由度の高さも人口触媒の魅力でしょう。 酵素ではリンや硫黄配位子はほとんど利用してませんからね。