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小栗虫太郎の小説の用語について
小栗虫太郎の小説黒死館殺人事件の「西班牙フィリップ四世朝の宰相)の定紋じょうもんが冠彫かしらぼりにされている豪奢な講典杖キャノニスチック・ケーンをついていた。」の部分の「講典杖」という単語がでてきますが、この講典という単語はどういう意味なのでしょうか、また、「コウテン」と読むのか「コウデン」読むのか詳しい方おしえてください。私は昔の国師という役職を講師とも、よばれていたことから、宗教上とりおこなうのに必要な杖と考えたのですが、ちがうのでしょうか。
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「講典」 は 「典を講ずる」 なので、 「コウテン」 とよむはずです。 「典」 を 「デン」 とよむ用例は、 「香典」 しか知りません。 「香典」 は、 「香奠」 を簡略化した書き方だそうです。 「奠 (デン / テン)」 の意味は供え物ですが、 「典」 という漢字にはそういう意味がありません。 「典」 の本来の音も、 「テン」 だけです。 「講典」 の 「典」 の意味は、この場合、 (貴ぶべき、ずっしりした) 書物です。 canonist が教会法学者なので、 「典」 は (カトリック教会の) 教会法典 (canon / ius canonicum) ということになるでしょう。すなわち 「講典」 で、教会法典をときあかす、という意味です。 現代の canonist (canon lawyer) は、狭義にはカトリック教会の教会法学者としての学位または資格 (JCL) の所持者をさし、かならずしも聖職者ではありません。ただし、高位の聖職者が canonist でもあることは多いようです。あるいは、高位の聖職にある canon lawyer をさしてとくに canonist とよぶということもかんがえられますが、辞書やウェブサイトの検索では、これらを明確に区別をした定義をみつけることができませんでした。ご質問の "canonistic cane" の "canonist" は、教会からあたえられる資格ないし役職であることはたしかだとおもいますが、たんなる canon lawyer 以上の重職を意味しているようですね。 教会法典にかんして権威を有する canonist の高い地位をあらわす杖が 「講典杖 (コウテンジョウ) 」 ではないかとかんがえるのですが、あくまでも推測にとどまります。
お礼
詳しい回答ありがとうございました。すみませんが補足させてください。
補足
大変詳しい回答でわかりやすかったのですが、他の人の意見もききたいので、特に小栗虫太郎の黒死館殺人事件を読まれた方はどのように解釈したのか回答をお待ちしています。別に読まれてない方の中でもこの回答に関して新しい回答や感想の乗せてくだい。