哲学の実益
彼が貧乏だから哲学はなんの役にも立たないと非難されたとき、彼は天文学の知識を使ってオリーブが豊作になることを予測した。まだ冬だというのに、彼はわずかな金を工面してミレトスとキオスにあるすべてのオリーブ搾油機を使う手付金を業者に支払った。高い値をつける者はだれもいなかったから、彼は格安の賃貸料ですんだわけである。そしてシーズンがくると、搾油機の需要が一挙にあっという間に増えたので、彼は自分ののぞむ条件で搾油機を又貸しした。こうして多くの財貨をかき集めて、彼は、哲学者たりとも、もしのぞむならば富裕になるのはいとも易いこと、ただし哲学者の関心はそこにはないことを示したのであった。
(アリストテレス『政治学』1259a 牛田徳子訳 京都大学学術出版会38,39ページ)
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上記はタレスが金儲けをした話です。アリストテレスは『政治学』のなかで、哲学の実益について語つてゐます。
哲学は役に立たないものといふ考へは正統的、それとも異端的なのですか。