> 最後の3行の理屈がよくわかりません。
「複屈折性のある結晶を、その結晶軸(一般には遅相軸)を照明光の
偏光方向と45°にして置き、検光子をクロスニコルに置けば、(2)に
なる」の部分ですね?
「複屈折性のある結晶を、その結晶軸(一般には遅相軸)を照明光の
偏光方向と45°にして置く」と、直線偏光である照明光は、結晶中で
等強度の"常光線"と"異常光線"に分かれます。今、常光線の偏光
方向をX軸、異常光線の偏光方向をY軸とし、入射光の偏光方向が
「XY共に負」の方向から「XY共に正」の方向へ向かう45°の方向だと
します。つまり、結晶に入射した直後では、「常光線」がXの負から
正の方向へ振動するときには、「異常光線」も同じ位相でYの負から
正の方向へ振動している、ということになります。ここで、結晶の機械的
厚さ(例えばノギスで測った厚さ)をdとすると、"常光線"にとっての光学
的厚さ(光路長)としてはno×dとなり、"異常光線"にとっての光学的
厚さ(光路長)としてはne×dとなります。この二者の差は、
(ne-no)×d(=Δn×d)ですが、これを複屈折による光路差(リター
デーション)と言います。このリターデーションがちょうど1/2波長に
等しい場合を考えてみます。すると、結晶の出口では二者の位相関係
は入射直後とは反転して、「常光線」がXの負から正の方向へ振動
するときには、「異常光線」はちょうど反対の位相でYの正から負の
方向へ振動する、ということになります。この二者を、入射側の偏光子
と直交する(すなわちクロスニコルに置かれた)検光子を通すとどう
なるでしょう?
「入射側の偏光子」が「XY共に負」の方向から「XY共に正」の方向へ
向かう45°の方向でしたから、「直交する検光子」は「X:負でY:正」
の方向から「X:正でY:負」の方向へ向かう-45°の方向ですね。
すると、Xの負から正の方向へ振動する「常光線」に対して、Yの正から
負の方向へ振動する「異常光線」を-45°方向で合成することになり
ますから、再び位相は揃った形で合成されます(ベクトルの図をご自分
で描いて確認してください)。すなわち、クロスニコルでは「リターデー
ションがちょうど(整数+1/2)波長に等しい場合」には、明るく見える
のです。
お礼
詳しい説明大変ありがとうございました。おがげで私にも理解することができました。周囲の友人にも伝えさせていだだきます。この度はありがとうございました。