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反交換関係について
フェルミオンの多粒子系を第二量子化する際に、 Ψ(r)=Σ_μ a_μ φ_μ(r) Ψ†(r)=Σ_μ a†_μ φ*_μ(r) と完全系として展開する作業について、自分の中でしっくり来ない部分があるので、分かる方よろしくお願いします。 1.何故Ψは場の量なのに、フーリエ変換で平面波に展開しないのか? 2.反交換関係を満たすa、a†が何故に消滅・生成を表しているといえるのか? 3.仮に2の答えが「a、a†が消滅・生成を表すような演算子となるような関数系φ、φ*で展開したから」であるならば、何故このように選んだφが、1粒子シュレディンガー方程式 H φ_μ(r)=E_μ φ_μ(r) Hは1粒子演算子 を満たすようなエネルギーの固有関数であることが分かるのか? 4.a、a†は正準共役と言えるのか? 5.数演算子nが整数(最終的に0or1になるが)であるということはどこから導かれるのか?(a†aからは実数であることは示せても、整数であることは示せないので) ひとつでも分かるものがある方、是非アドヴァイスよろしくお願いします。
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>展開係数に排他原理を考慮した部分がφにも効いてくるということですね。 ちょっと違うような。。。 Ψ(r)=Σ_μ a_μ φ_μ(r)、 Ψ†(r)=Σ_μ a†_μ φ*_μ(r) を自由場のハミルトニアンに代入し、φ_μ(r)の規格直交関係を利用して計算すれば H0=Σhω(k)C†_μ C_μ という表式が得られます。ここで電子場の生成消滅演算子は通常C†、Cで書かれますのでそれに従いました。この時点ではスピンは全く考慮せず、したがってφ_μ(r)は完全規格直交関係を有するとしています(←平面波でOKということです)。状態ベクトルΦは Φ(μ1,μ2)=C†_μ1C†_μ2|0> (1) と書かれることがわかります。ところでC_μは反交換関係を満たしますのでμ1=μ2とするとΦ(μ1,μ1)=となります。これがパウリの排他律を表現しています。 >排他原理を考慮した部分がφにも効いて ということとは違いますね。 >「φ_μ(r)を平面波に置き換えればいいだけ」というのは独立電子近似下でさらにパウリの排他原理が無視できるとき(が有るのかどうかは分かりませんが)しか成り立たないということでしょうか? スピンまでを考慮してやると Ψ(r)=Σ_μ C_μ φ_μ(r) で φ_μ(r)にスピン座標を取り込まないと完全規格直交系になりません。そこで φ_{μ(r)α}=φ_μ(r)u_α という形にしてやり、うまく完全系になるようにu_αを決めていくわけです。 スピンを考慮した結果、スピンの↑↓に対応して(1)の展開係数C_μの数は2倍に増えることになりますが、基本的な計算はスピンがない場合のやり方と異なりません。スピンが表に顔を出す相互作用が場合はスピンの存在を無視してもよいと思います。 これから出かけなければならないので議論が中途半端になっているかもしれません。上の議論は例のテキストにしっかり書かれていますので、頑張ってください。ご健闘を祈ります。
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- KENZOU
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#1のKENZOUです。 >電磁場を量子化する手続きでは平面波で開くのに対して、電子のこのケースにおいて平面波を用いず、敢えてφという関数を使うのには何か理由があると そうですね、その理由として電子場はボーズ場と異なりスピン(スピノール)を考えてやらないといけないということがあげられます。電磁場はボーズ粒子ですから平面波で規格化完全直交関数を作れましたが、電子場はスピノールを加えて規格化完全直交関数を作らなければならないということなんです。この辺の話もくだんのテキストのIV-3電子場の量子化あたりに書かれていたと思いますよ。。。
お礼
なるほど。展開係数に排他原理を考慮した部分がφにも効いてくるということですね。 私のテキストの読み込みが足りなかったようですね。もう一回フォローしながらしっかり読んでみます。 ついでにもうひとつ愚かな質問を加えさせてください。 電子の多体系を考える際に、近似のない表現として各電子間に相互作用(クーロン斥力)を考える際や、Hartree-Fock近似のように交換項にスピンの効果を考えている際は、No3のatomicmoleculeさんのいうとおり単純な平面波として表すことは難しいと思うのですが、ではNo1の「φ_μ(r)を平面波に置き換えればいいだけ」というのは独立電子近似下でさらにパウリの排他原理が無視できるとき(が有るのかどうかは分かりませんが)しか成り立たないということでしょうか? 電子場の展開における完全系φの具体的な表式まで言及しているテキストが無いってことは、やはりφとしてexpのような手軽な平面波の形を求めるのは間違いになっちゃうんでしょうかね?
- atomicmolecule
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平面波展開というのはフーリエ変換のことですね。 フーリエ変換はどんな時にも使えるのでフーリエ変換事態は問題ありません。ところで自由場の時には、直感的にも分るように、フーリエ展開の各成分が自由場の運動方程式をみたしますね。その場合には展開係数は簡単な(生成消滅演算子の)交換関係を満たしますからすごく便利です。相互作用があるときには、やってみれば分りますが、平面波展開の係数は交換関係を 満たしません。相互作用があるのでもう少しうまい展開を選ばないといけないのです。あとは私は良く知りませんが、問題に応じた展開というのをするんでしょうね。少しヒントにでもなれば幸いです。
お礼
なるほど。相互作用の有無でそんな違いが有るんですね。そういう切り口で考えたことがなかったので、ためになります。ありがとうございます。
- atomicmolecule
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いくつかの質問がリンクしています。そしてsnobberyさんの第二量子化のアプローチ(場の理論なのか、それとも量子力学から出発して多体系へ拡張するのか)によって解答も変わってくると思いますので、直ぐに答えられるa,a^†と粒子数の関係だけ解答します。 (1) {a,a^†}=1 (2) {a,a}=0 (3) {a^†,a^†}=0 とすると (2)より aa|状態>=0 (3) より a^†a^†|状態>=0 N=a^†aと粒子数演算子を定義して、Nの固有値で状態を分類しますと N|0>≡0|0>=0 これはNの定義を使うと <0|N|0>=<0|a^†a|0>=|a|0>|^2=0 となるので、a|0>=0を意味します。ところで|0>にa^†をかけた状態の個数をしらべると N(a^†)|0> =a^†a(a^†)|0> =a^†(1-a^†a)|0> =a^†|0>-a^†a^†a|0> =a^†|0> つまり N(a^†)|0>=1×(a^†)|0> とみなせるので、 a^†|0>=|1>。これで個数演算子とその生成消滅演算子が分ったと思います。 a^†a^†=0 から、粒子数が二個という状態はつくれません。これがフェルミオンの反交換関係からきていることを計算をたどってみてください。 因みに、多体系から第二量子化へアプローチする場合にはスレーター行列式と波動関数の対称化を調べると良いと思います。
お礼
丁寧に説明していただきありがとうございます。 >第二量子化のアプローチ(場の理論なのか、それとも量子力学から出発して多体系へ拡張するのか)によって解答も変わってくると思いますので、 今回は量子力学からのアプローチを考えていて浮かんだ質問ですが、電子を古典場として扱うところから考える場の量子論でも納得できる理由が得られればどちらでも構いません。 ずっと引っかかっていた部分は、 「N=a^†aと粒子数演算子を定義して」と唐突に出てくる部分です。これが数を表すのというは仮定ではないのか?では、仮定から出発する生成消滅演算子の証明で示される性質も仮定に過ぎないのではないか?証明が閉じない??? …と、悩んでいましたが、先ほど古典場の立場から電荷密度の全空間積分が粒子数になるという関係 N=∫ρ(r) dr = ∫ψ†ψ dr に(一番最初の質問に記載した)完全系展開したものを代入するとN=a†aとなることを見つけ、自分なりに納得がいきました。 おぉ、何か大分整理できました。ありがとうございました。
補足
2~5は解決したので、あとは1がまだ引っかかる部分があります。よろしくお願いします。
- KENZOU
- ベストアンサー率54% (241/444)
>ひとつでも分かるものがある方、是非アドヴァイスよろしくお願いします。 ということで1番だけ。 >1.何故Ψは場の量なのに、フーリエ変換で平面波に展開しないのか Ψ(r)=Σ_μ a_μ φ_μ(r) Ψ†(r)=Σ_μ a†_μ φ*_μ(r) これってフーリエ変換ですね。今の場合、φ_μ(r)を平面波に置き換えればいいだけのことです。そして係数 a†_μ、a_μ が電子場の生成消滅演算子になります。 ご質問の5つの項をここで書き出すとゴタゴタと長くなりますので、ここは次のテキストを参考にご自分でじっくりとフォローされるのがよいかと思いますが。。。高橋康著「古典場から量子場への道」(講談社)←最近改訂版がでたみたいです。この第IV章3項の電子場の量子化が参考になると思います。
お礼
ありがとうございます。 そのテキストは既に手元にありますが、意味づけの部分が自分の中でまだ満足が得られないので質問させていただきました。 >今の場合、φ_μ(r)を平面波に置き換えればいいだけのことです。 言葉足らずでスミマセン。「置き換えればよい」というのは分かるのですが、 電磁場を量子化する手続きでは平面波で開くのに対して、電子のこのケースにおいて平面波を用いず、敢えてφという関数を使うのには何か理由があると思ったのですが、何か平面波で表すのに不都合があるのでしょうか? よろしくお願いします。
補足
4と5は自己解決できました。 よって、1~3を分かればよろしくお願いします。
お礼
根気よく議論に付き合って頂きありがとうございます。 自分の中の根本的な間違いが分かりました。 先日の時点で、私は「フェルミオンのφの部分がボソンのようにexpのような簡単な形の平面波で表せない理由は、展開係数に排他原理を考慮させた(=反交換関係を持たせた)ため。」と考えていました。 私は今まで、ボソンの量子化の例として電磁場やフォノンにしか馴染みが無かったため、「ボソン→expの形の平面波展開」だと思い込んでいました。 故に、電子場の量子化でφが出てきたときに「これはフェルミオンだからexpの形で表せないのだ」と誤解していたようです。 スピンの話が出たときも「電子→スピンがある→反交換関係→φ」「フォノン、電磁場→交換関係→exp」と考えてしまい、誤解は悪化してしまったようです。 正しくはフェルミオンかボソンかではなく、スピンを考慮するか無視する(もしくは0)かが重要なのですね。 だから、例えボソンでも、例えばスピン2の粒子においてスピンの相互作用を考えるときにはexpの形で展開してはいけないということですね。 No.4ではその意味を読み取れずに、暴走してしまいました(恥) GWにもう一度テキスト(古典場から量子場への道)を読み返す良いきっかけになりました。ありがとうございました。