- ベストアンサー
スルホニルウレア系薬剤
糖尿病の薬剤としてスルホニルウレア系がありますよね。これは膵β細胞のATP感受性蛋白に働きかけてK+チャネルを閉じて脱分極おこさせることによってインスリン分泌を促すとありますが、第1の疑問点はATP産生低下時にどのようにして、ATP感受性蛋白にATPが高濃度であると錯覚させるのかということです。SU剤自身がATPをたくさん合成するならば納得いくのですが・・・。その辺りの知識がないので教えてください。それと、細胞内K+を上昇させることによってどうして過分極するのかということです。昔、Na+の流入とK+の流出によって脱分極して活動電位が発生すると習った記憶があるのですが・・・。この2つの疑問にご存知の方がおられたら、参考HPなど教えていただければと存じています。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
詳細は分かりませんが,手元の成書(「経口薬の新しい視点 糖尿病の薬物療法」池田義雄 編,日本メディカルセンタ-,1996年刊)にある記述を紹介いたします。 スルフォニルウレア(SU)剤は膵B細胞の細胞膜上にあるスルフォニルウレアレセプタ-に結合します。このレセプタ-は細胞膜に存在する ATP 感受性 K+ チャンネルとカップリングしており,SU 剤の結合によって K+ チャンネル活性が抑制されます。その結果,この K+ チャンネルを介しての K+ の細胞外への流出が減少し,細胞の脱分極が引き起こされます。 その後,細胞の脱分極によって細胞膜にある電位依存性の Ca2+ チャンネルが開いて細胞外から Ca2+ イオンが流入し,インスリン顆粒の細胞表面への移動を経て,インスリン分泌が起こります。 いかがでしょうか。インスリン分泌を起こさせるには細胞の脱分極が起こればいいわけで,それには必ずしも ATP は必要ないわけです。また,脱分極は Na+ 以外の何で起こしてもいいわけで,今の場合は K+ イオンの流出を止めることで起こしています。 なお,上記の成書には文献が挙がっています。ここに紹介しておきますので,よければご覧下さい。 ◎Aguilar-Bryan L., Nicholes C.G., Wechsler S.W., et al.: Cloning of the B cell high-affinity sulfonylurea receptor: a regulator of insulin secretion. Science, 268: 423-426, 1995. ◎Philipson L.H. and Steiner D.F.: Pas de deux or more: The sulfonylurea receptor and K+ channels. Science, 268:372-373, 1995.
その他の回答 (1)
前半の質問に関して、rei00さんの回答と同様と思いますが、以下の参考URLサイトは参考になりますでしょうか? 「Drugs for Diabetes Mellitus」 この中で「グルコースによる膵β細胞からのインスリン分泌とsulfonylurea類の作用点」と「経口抗糖尿病薬」の項が参考になります。 ◎http://www.diabetes.h.u-tokyo.ac.jp/diabetes/keyword/a03.html (ATP感受性K+(KATP)チャネル) さらに詳細はPubMedで総説を検索されては如何でしょうか・・・? ご参考まで。
お礼
ありがとうございます。作用機序はなんとなく理解できるのですが、“K+が細胞外に出て、Na+が細胞内に流入しておこる”ということが頭にこびりついているようです。細胞内にK+が過剰にたまっても脱分極がおこると理解すればいいのですね。
お礼
ありがとうございます。 文献まで教えていただきまして・・・。 K+channelが閉じるのにATPがいらないことは理解できましたが、細胞内K+が上昇することにより脱分極が生じることが少し、理解し難いんですが、脱分極を起こさせるのには、細胞外からのNa流入か細胞内K+上昇かによっておこるということで理解しておきます。