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唾液と酢酸の反応

唾液に酢酸を加えると、なぜ白く濁るのでしょうか? この実験の趣旨は、唾液(に含まれる酵素)がタンパク質である事を確認する実験のようなのですが、どうしてこの白濁がタンパク質である事を示すのか、いまひとつわかりません。 (私的には、つまり塩析が起こってるからかと、思うのですが…ただの「酢酸」だけで、塩として働くのか不明ですし、自信は全くありません。)

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  • DexMachina
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回答No.2

No.1です。 > 酸変性は主に強酸で起こる反応だと思うのですが、弱酸である酢酸でも同様の反応は起こるのでしょうか。 脂肪なども含めた混合系なので必ずしも例として適切ではありませんが、牛乳に果物酢を加えて作る即席ヨーグルト(?)でも、脂肪の乳化の解除だけでなく、酸変性も起こっていると思います。 蛋白質の酸変性は、原理的には「酸の添加によって蛋白質内水素結合が解除される等して起こる、立体構造の(不可逆的な)変化」だと思いますので、酢酸程度の弱酸でも可能な場合があり得ます。 つまり、低分子の場合は、一般に分子内水素結合の方が優位ですが(→脂肪族カルボキシル基同士など同種の基での比較時)、遙かに離れた部位と水素結合している酵素のような場合は、結合の歪みや熱振動の影響により、酢酸によって外れるぐらいの強さしかない場合も充分考えられる、ということです。 (もちろん、強酸の方がアミノ基へのプロトネーションの強制度は高いので、より確実に変性を起こせるわけですが) > 酢酸と酵素(orアミラーゼ/or蛋白質/or唾液)の組合せに、特異的な反応・実験などが存在するのかと 私は専門ではないので、もしかしたらそういう反応もあるかもしれませんが、一般的には、「白濁」での証明は難しいと思います。 というのは、「白」というのは散乱光ですから、「光を散乱させる粒子」さえ生じてしまえば、全てで起こり得るからです。 蛋白質の確認に使うビウレット反応にしろ、デンプンの確認に使うヨウ素デンプン反応にしろ、それらが(一応の)証明になるのは、特定の色を持つ(つまり「特定の波長の光を吸収する)ことによって、「特定の構造を持つ」と推測されることによります。 ・・・というのが根拠にあったので、前回のような「実験の趣旨」への推測ができた、というわけです。

ibarahime
質問者

お礼

再度のご回答、しかも前回の質問にまでご回答下さりありがとうございます。 酵素のような高分子では酢酸のような弱酸でも酸変性が起こる可能性はあるのですね。 結合力の弱い水素結合が、しかも酵素のような高分子の中で遙かに離れた部位としているのならば、確かに弱酸で切れる可能性は十分ありそうな気がします。 …私は生物系が専攻なので化学系の詳しい事はあまり良く分からないのですが(すみません)、とても勉強になりました。 ビウレット反応とヨウ素デンプン反応は、ずばり今回の実習で並行して行いました。これらはDexMachinaさんの仰る通り、呈色と比色によりすぐに推察することができました。 やはりその事を考えても、唾液と酢酸の反応は、ビウレット反応などの補助的なものとして、DexMachinaさんがNo.1のご回答でご指摘下さった「唾液の主成分である蛋白質が、酢酸で凝集されることを確認」だったのでしょうね。 とても詳しく分かりやすいご回答を頂き、大変勉強になりました。(全て納得がいき、すっきりしました!) 本当にどうもありがとうございました!!

ibarahime
質問者

補足

(すみません、ポイント発行は複数の回答が同一の方にしていただいた場合、どちらかの回答にしかできないそうなので、こちらの回答に20pt発行させて頂きますね。)

その他の回答 (1)

  • DexMachina
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回答No.1

α-アミラーゼの構造を試しにWebで調べてみたのですが、ずいぶん大きな分子だったんですね。 (何の根拠もなしに、ここで構造式を示すことができるぐらいのものかと思ってましたので) http://www.sbsp.jp/sbsp/Sb/sb31/029.html http://www.abr.affrc.go.jp/organization/Biotechnology/0707/ どうやら「唾液+酢酸」を加えた時に起きているのは、塩析ではなく酸変性のようです。 下記参考URLでの回答によれば、元々水溶性だった蛋白質(酵素)に酸が加えられた場合、 構造が変化して疎水基部分の一部が表面に露出し、その疎水基部分を互いに覆い隠す ような形に凝集を起こすことがあるそうです。 ですので、唾液に酢酸を加えた場合も、巨大分子であるアミラーゼが、酢酸によって立体構造が 変化して凝集を起こすことで、沈澱性の白濁を生じたのだと思います。 但し、ibarahimeさんも或いはこの点に一番の疑問を持たれたのではないかと思うのですが、 「酢酸の添加により白濁する」というだけでは、「蛋白質の存在」の証明にはなりません。 あくまで、その大まかな組成が既知である「唾液」に対しての酢酸添加なので、 「白濁は(唾液の主成分であるアミラーゼなどの)蛋白質が原因だ」と言えるにすぎないと思います。 なので、本来なら実験の趣旨は「唾液に蛋白質が含まれることを確認」ではなく、 「唾液の主成分である蛋白質が、酢酸で凝集されることを確認」というべきなのでしょうね。

ibarahime
質問者

お礼

早速のご回答をありがとうございます! なるほど、酸変性だと納得がいきますね。 原理まで教えて頂いて本当にありがとうございます。 「沈殿性の白濁」…確かに実習時、白濁以外にも微かに、溶液中に固形物が浮いていたのも見た気がします。もう少し経過を見ていればおそらく沈殿になっただろうと思います。 ただ少し気になることがあるのですが、酸変性は主に強酸で起こる反応だと思うのですが、弱酸である酢酸でも同様の反応は起こるのでしょうか。 実験の趣旨につきましては、DexMachinaさんの仰るとおりだと思います。 また、私も「「酢酸の添加により白濁する」というだけでは、「蛋白質の存在」の証明になるのか」という点に疑問を持ちました。しかしながら、おそらくそれだけで証明しなければいけないのかなと思い、酢酸と酵素(orアミラーゼ/or蛋白質/or唾液)の組合せに、特異的な反応・実験などが存在するのかと調べていたのですが、結局見つからず、こちらで質問させて頂いた次第です。 それでは本当に丁寧なご回答をありがとうございました。

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