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前張に衣は染めん……
ある歌です。 「前張に 衣は染めん 雨ふれど 雨ふれどうつろいがたし ふかく染めては」 前張は大口袴の一種でしょうね。この歌は一体どんな意味ですか。詳しく説明していただけませんか?
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古典の『神楽歌(かぐらうた)』の「前榛(さいばり)」ですね。 詳しくは、例えば、 「神楽歌・催馬楽・梁塵秘抄・閑吟集」(新編)日本古典文学全集42〔小学館〕 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4096580422/250-6725586-0662644 をご覧ください。 なお、勅撰集の「拾遺(しゅうい)和歌集」にも「雨降れど」の繰り返しを一回だけにした短歌形式で収録されています。 以下は上記の本によったものです。 「さいばり」は諸説あるようですが、折口信夫の「王孫(ぬはり)〔衝羽根草(つくばねそう)の別称〕」 の最初に咲いた花という説が有力のようです。この花の汁で布を染めると鮮やかな鬱金(うこん)色(黄色)に染まるそうです。 大意は、 (本) 「さいばり」を用いて布は染めよう。雨が降っても。 (末) 雨が降っても、その(「さいばり」で染めた)色はなかなか変わりにくい。深く染めたから。 と、本方と末方で唱和する形で、「我が恋の変わらぬ深さを女に誓っている内容の歌」と古典文学全集の解説にはあります。雨に濡れても布が色あせないことを、恋心は変わらないことのたとえとしているわけですね。 ネットで検索してみると、「雪のかなたへ」という演劇の台本にも引用されているようです。該当場面も先の解説の内容でうまく合うように思います。
お礼
いや、助かりました。どうもありがとうございました。