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憲法について、98条
憲法は98条1項で「最高法規」であると定められていますが、同2項との関連について疑問があります。憲法と条約ではどちらが優先されるのでしょうか? おそらく憲法に反する条約を結ぶことがすでに違憲であると思うのですが、何らかの手違いで条約が締結、承認されてしまった場合、違憲を理由に条約が無効とされることはあるのでしょうか?そもそも司法権は条約にも及ぶのでしょうか?裁判所が条約の違憲審査をしたことはあるのでしょうか?
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>憲法と条約ではどちらが優先されるのでしょうか? これにつき、憲法学説も結論が分かれています。 >憲法に反する条約を結ぶことがすでに違憲である 条約締結権は内閣の権限(第七十三条三号)ですから、権限行使が憲法に反したものであれば違憲の評価を受けることになると思います。 しかし、それ自体は内閣の行為の違法性(国賠法上の違法となるか)に関わる問題であって、条約そのものの効力の問題とは別個の論点になります。 ただ、違憲の疑いのある立法行為の国家賠償訴訟における違法性判断を参考にすると、一義的文言に反する内容であることが明白な場合でなければ、内閣の条約締結も違法評価とならないとも考えられそうです。 >条約が締結、承認されてしまった場合、違憲を理由に条約が無効とされることはあるのでしょうか? これは「憲法と条約ではどちらが優先されるか」という論争でよって立つ立場によって結論がことなると考えられます。 通説は憲法が優位すると考えているようで、この場合には条約に違憲審査権を行使出来る余地を生じます。 他方、条約優位説からは条約締結によって実質的には憲法改正が行われたのと変わりがないので、違憲審査権の問題が一切生じません。 通説の憲法優位説からも違憲審査権の行使を否定する結論をとるものがありますが、芦部説の国内法としての側面については八十一条の「法律」に準じて違憲審査の対象となるとの結論が妥当と思われます。 判例はどうかというと、砂川事件において条約も違憲審査の対象となるとしたと考えられています。 砂川事件は安保条約の違憲無効が主張されたのですが、第一審は九条二項違反で違憲無効との判決をし、最高裁ではいわゆる統治行為論のような限定を付して事案としては合憲としながら、一見明白な違憲であればなお司法審査の対象であることを判示しています。