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発光スペクトル
こんばんわ。実験で発光スペクトルのデータを取りました。そこには、ピークがいくつかでました。しかし、ピークには幅があります。これはなぜなんでしょう???
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エネルギーと不確定性関係にあるのは位置ではなく時間です。発光スペクトルに幅があるのは、原子が光っている時間が有限であることに由来します。スペクトルの幅と継続時間とのあいだには反比例の関係があり、それを不確定性関係といいます。これは、光に限らず、すべての波動にあてはまります。 たとえば、笛やオルガンのように、長い時間一様な音を発生する楽器の音程はかなり正確に測定されます。つまり、線スペクトルな音です。ところが、太鼓のように短い時間しか音を出さない楽器の音程は正確に決めることが出来ません。つまり幅を持ったスペクトルの音を出します。(中にはティンパニーのようにある程度音程の定まった太鼓もありますが、これは音が響く時間がある程度長いために、両者の中間的なスペクトルの音を出しているのです。) 定量的には、不確定性関係はフーリエ変換により記述されます。紫外線によって励起された原子は、ある時間だけ励起状態にとどまった後、光を放出して元の状態に戻ります。このため、原子から放射される光電場の振幅は(正確に言えばその期待値かな?)、励起状態の寿命を時定数とした指数減衰カーブを描きます。発光スペクトル幅はこの振幅が減衰してゆく光電場振動(つまり減衰振動)のフーリエ変換で与えられます。このフーリエ変換は手計算で簡単に行う事が出来、ローレンツ関数が得られます。このとき、ローレンツ関数の半値半幅は減衰の時定数の逆数と一致します。 ただし、ここで注意すべきなのは、検出器のフォトマルは、電場振幅ではなく、電場強度を測定しているということです。強度は振幅の2乗なので、実験結果として得られる関数形は、もとのローレンツ関数の2乗になっています。 以上が「自然幅」です。No.2さんのおっしゃっているように、スペクトル幅を広げる要因は他にもあるので注意が必要です。
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- First_Noel
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どうやって分光観測したのですか? それによりいろいろあります. ひとくちに幅と言っても, A:自然幅,シュタルク幅,圧力幅,・・・ B:ドップラー幅,装置幅,・・・ などがあります. 分光器を使った観測では,装置幅とドップラー幅が主でしょう. 一般に自然幅は,他の広がりに比べて大変小さいものです. また,幅のみならず,スペクトル線の形状にも注目せねばなりません. 上記のAはローレンツ型の広がりとなり,Bはガウスが多の広がりとなります. 実際は両者が混ざって,フォークト型となります. ローレンツ型はローレンツ関数で,ガウス型はガウス関数で, フォークト型はフォークト関数で表現されます.
- bandgap
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何の発光スペクトルを取ったのか分かりませんが,原子としましょう. 不確定性原理によると,位置とエネルギーは一意に定まりません.このためエネルギーにはゆらぎ生じます.このエネルギーゆらぎに起因するスペクトル幅を自然幅と言います. また原子がランダムに移動している場合,光のドップラー効果が生じますので,これに起因しても,やはりスペクトルが広がります. さらに測定装置の波長分解能が原子スペクトルに比べて悪いと,やはりスペクトルに幅が生じます.
お礼
ありがとうございました。とても参考になりました。っで、スペクトルを取ったのは、希土類元素のEr3+に紫外線を当て、そこからでた光をフォトマルで電流として検出しました。この場合でも、同じことが言えますか??
お礼
遅くなってすいませんでした。分光器を使っての観測だったので、教えていただいたので考えてみます。本当にありがとうございました。