融合タンパク質をどのような目的で使うかによっても、好みが違ってくると思います。
私はこれまで収量重視の実験が多かったものですから、不溶性になってもあまり気にせず、目一杯発現誘導していました。しかし、Pull-down assayやGel-shiftのような実験をやっていた同僚たちは、たとえ収量を犠牲にしても、最初から可溶性になるように発現させる方法を選んでいました。たとえば、低温で発現誘導する、Periplasmに分泌されるとかthioredoxinと融合させるとかの宿主/ベクター系を使うなどです。
不溶化してInclusion bodyを形成してしまい可溶化する必要がある場合私はこうしています(出典はMolecular Cloningだったと思います)。
1. Inclusion bodyを蒸留水、またはPBSなどにピペッティングなどで懸濁、遠心。1~3回繰り返し可溶性成分を洗い落とす。
2. 沈殿に少量の10 mM EDTA (pH8)を加える(1L培養につき2 mL程度)
3. 等容量の8 M尿素を加え、30分間ステア。溶けがわるいようなら、さらに8 M尿素を加える。ここでTx100, Tween20などの界面活性剤、DTT、適当なpHのバッファーなどを加えると効果的な場合がある。
4. 遠心して不溶物を沈殿させ、上澄みを回収。
5. 2 M 尿素/5 mM DTT/0.2 mM EDTA→PBS(数回)で透析。または、アフィニティーカラム精製で許容できる尿素濃度(タグによって異なる)まで希釈してカラム精製(カラムの中で尿素濃度が下がると、そこで不溶化するおそれあり)。
界面活性剤は、透析で取り除きにくいので、界面活性剤が用途に影響がある場合は入れない方がいいでしょう。
逆に、界面活性剤が混在していても影響がないような場合は、溶菌するのに使ってもいいと思いますよ(凍結融解は、手間でしょう)。
お礼
詳細な説明ありがとうございました。 昨日から低温培養での誘導を試しております。 これで可溶化してくれることを祈っています。 だめなら教えていただいた方法を試してみます。