rei00 です。
チョット気になる事があって,昔某大学の教養課程の化学実験をお手伝いした時の実験書を引っ張り出してみました。と,酢酸エチルではありませんが,酢酸メチルの加水分解を中和滴定で追っかけて反応速度の測定を行なっていました。以下,その実験書を元にしています。
加水分解反応:
CH3COOCH3 + H2O + H+ ⇔ CH3COOH + CH3OH + H+
反応速度式(1):
-d[CH3COOCH3]/dt = k'[CH3COOH][H+]
(正方向の速度定数:k')
ここで,塩酸の濃度が1規定程度であれば,酢酸の解離による水素イオンの濃度増加は無視できるので,最初の塩酸濃度を [H+]0 とすると [H+] = [H+]0 とできる。
したがって,式(1)は次の一次式(2)になる。
-d[CH3COOCH3]/dt = k[CH3COOH], k = k'[H+]0
これから,次の式(3)が導ける。
a - x = ae^(-kt)
a: 酢酸メチルの初濃度
x:時刻 t において生じた酢酸の濃度
実際の操作:
1)約 1 N HCl 240 ml に酢酸メチル 8 ml を加えて反応開始
2)5分ごとに 5 ml を取りだし,蒸留水 50 ml に加えた後,0.2 N NaOH で中和滴定
3)反応開始後 100 分まで繰り返す
4)時刻 t に対して滴定量 V をプロットし,なめらかな曲線を書いた後,5分ごとの滴定量を新たに読み直す。
結果の解析:
時刻 t1, t2, ・・・tn と時刻 t1+Δ, t2+Δ, ・・・tn+Δ(Δ一定)で x を測定し,各濃度 x1, x2, ・・・xn と x1+Δ, x2+Δ, ・・・x(n+Δ) を求める。
式(3)から,x(n+Δ) - xn = a[1-e^(-kΔ)]e^(-ktn)
したがって,ln[x(n+Δ) - xn] = -ktn + 定数
ln:自然対数
滴定に要した NaOH 量を V1, V2, ・・・V(n+Δ) とすると,X(n+Δ) - xn = [V(n+Δ) - Vn](N/5) となり,ln[x(n+Δ) - xn] = -ktn + 定数' となる。
したがって,ln[V(n+Δ) - Vn] を tn に対してプロットした直線の傾きから,k が求まります。
いかがでしょうか。酢酸エチルでも同様に可能だと思います。ただし,これは教養化学の学生実験の話です。tarachan424 さんの目的によっては使えないかも知れません。