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「塩の加水分解」という用語について
塩の水溶液の液性を考えるときによく「加水分解」という言葉が使われます。 本によっては塩化ナトリウムは加水分解されないが酢酸ナトリウムは加水分解されるという表現も使っています。NaClはイオンに別れて存在しているだけですが酢酸ナトリウムは水との間で CH3COO-+H2O→CH3COOH+OH- の反応が起こります。イオン性物質が水に溶けるとイオンに別れて存在します。酢酸ナトリウムは塩化ナトリウムの変化よりの1段階変化が多いということになります。 この変化に対して「加水分解」という用語を使っています。でも水によって分解は起こっていません。エステルの「加水分解」は意味がハッキリしています。エステルの結合が水によって切られています。 塩に対するこの加水分解という用語は間違っていると思います。 アレニウスの電離説以前の電解質のイメージが長いこと使われていました。未だに食塩の分子式とか分子量とかの言葉を使う人がいます。 ファラデーは電解質を電圧をかけたときだけイオンに別れる物質と考えていました。NaClという分子で存在すると考えていても食塩水が中性であるということでは変更の必要はありません。ところが酢酸ナトリウムはアルカリ性を示すのでどうしても水との反応を考えないといけません。だから「加水分解」というのは水によってCH3COONaの結合を切ってしまう変化だと考えていたのだと思います。 上の式ではなくてエステルの加水分解と同じように考えた次の式だということになります。 CH3COONa+H2O→CH3COOH+NaOH (応用分野の化学のテキストの中ではよく見る式です。) アレニウスが電離説を出してから100年以上経っていますが未だにイオンと分子が混乱した使われれかたをしています。塩の「加水分解」はこの混乱に基づいた用語ではないでしょうか。
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質問者が選んだベストアンサー
基本的には仰るとおりだと思います。 しかし >塩の「加水分解」はこの混乱に基づいた用語ではないでしょうか。 については歴史的過程などを知らないので答えられません。 私の高校の時の教科書にも「加水分解」と書いてあった気がしますが、 化学の先生が「これを加水分解と言うのはおかしい」と言っていました。 しかし、今の職場では「化合物=分子」という概念の人が多いです。 そういう人には質問者様が下から3行目に書いた式は解りやすいものなのでしょうね。
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- piyoco123
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質問者さんが言われるとおり、加水分解というのは水が付加して結合が切れる反応で、塩化ナトリウムの場合は電離です。 「塩の加水分解」は例えば、 2AlCl3+3H2O→2Al(OH)3+3HCl の反応の時に使います。 イオンと分子を間違って使うのはいただけないですね。
- yukimin387
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参考URLに4行目と同じ反応式が載っています。 「分解」という用語を、出発物質の結合が切れて2つ以上の部分に分かれることという意味に捉えておられるようですが、結合が切れたり分かれたりしなくても出発物質が別の物質に変化すること(それが元より構造的に大きくなったとしても)を分解と呼ぶことができます。
お礼
4行目の式は教科書にも載っている式です。酸・塩基の本には必ず出てくる式です。この式の載っている本やサイトを教えて欲しいという意味ではありません。 私が書いたのはこの式に対して「加水分解」という言葉を用いるのは適切でないという意味です。エステルの加水分解と意味が違います。エステルの場合は意味もハッキリしています。分かりやすいです。でも「塩の加水分解」は意味の分からない用語法です。高校生などに反応を教えていくときに困ります。そういうもんだとして覚えてしまえと言うしか手がないことになります。化学を暗記物にしてしまう方向の一つだと思います。私はこの用語法を教科書から消して欲しいと思っています。 そのこともあってそういう言葉使いをする背景を考えてみたのです。 回答に書かれているような「分解」の解釈には同意できません。何でもありになってしまいます。 >結合が切れたり分かれたりしなくても出発物質が別の物質に変化する こういう化学変化がありうるでしょうか。
お礼
有難うございます。 でも私が書いているのは塩化ナトリウムについてではありません。酢酸ナトリウムについてです。 水に溶けてイオンに別れるというところは塩化ナトリウムも酢酸ナトリウムも同じです。酢酸ナトリウムの場合はそこからもう一段階変化が起こります。4行目に書いた式です。この式で起こる変化を「加水分解」と呼ぶことについての疑問です。4行目の式で見る限り、どこでも加水「分解」は起こっていません。 エステルの加水分解は意味がハッキリしています。エステルの結合が切れています。