答えとしては・・・「あなたにしかわかりません」
あなたが、どのくらいそれらのsystem, gene, receptorを特別なものだと考えているかによって決まるからです。
もちろん一般的な英文法のルールにより、
誰が聞いても特定できる有名なもの。
繰り返し出てくる名詞の場合も2回目以降。
などにはtheを使います。
しかし、それ以外の多くの場面でa/the/無冠詞の区別により、文中にあなたの考えを反映させる必要があります。
論文中であなたの実験結果について述べるのならば、必然的に、私が工夫した「その」system、私が実験した「この」gene、私が着目した「あの」receptor・・・のように一般的なものとの区別の必要が出てくるのでtheの割合が多くなると思います。
一般的な英文法では「ofで限定される名詞は原則theをつける」といわれますが、科学英語だと一筋縄ではいきません。たとえば、
treatment of X
というフレーズで、Xという処理がごくごく一般的な処理ならば、そのまま無冠詞ですが、
あなたが工夫した、あるいは一般的な処理の中に特別な意味をを考えるようなときは
the treatment of X
とtheをつけて「特別な」という意味合いをおく必要があります。
一般的な使い分けとしては、
理論・目的に関する語群ではthe Y of Xとなることが多いです。
the mechanism of X
the synthesis of X
the sensitivity of X
などなど、これらの語群は論文中の中心論点や結果の考察に使われる場合が多いので、他の一般的なものとの区別のためにtheをほぼ100%使います。「その」という限定の意味や「私の実験系での結果として」という区別の意味が含まれると思います。
方法・反応に関する語群では、theと無冠詞・不定冠詞はケースバイケースです。
isolation of X
conversion of X
oxidation of X
などなど、これはofで限定される反応・方法が、どのくらい特殊/一般的なのかによって決まります。
その反応・方法を一般的なものと区別する必要がある場合にはtheを使います。また、その反応・方法が中心論点になっている場合は繰り返されるのでtheの割合が高くなります。
一般的な処置に関する語群
analysis of X
treatment of X
irradiation of X
など、X以降がごく一般的な分析や処理について述べているときにはtheをつけて特別な意味を持たせる必要がありませんので、無冠詞が多くなります。
意味を考えることなしに、使い分けを決めることは多くの場合難しいです。特に科学英語の場合、あなたの主張、考えを誤解なくシンプルに伝えるという目的がありますので、冠詞の持つ意味が大きいのです。
もし、文中無冠詞だらけだと・・・一般に知られた反応・方法・対象・・・???果たしてオリジナリティはどこに?そんなに一般的なことならいまさら研究する意味はあるのかという気がしませんか?
もしtheだらけだと・・・ごく普通の反応にも特別な意味を、この処置も一般的なものではなく区別している・・・???この実験ごくごく特殊な環境でだけ成り立つものなの?そんなに特殊なら一般化はできそうにない、そんな研究だなぁという印象を持ちませんか?
あなたが他のものと区別を必要とする興味の対象にtheを使うことで、読者にあなたの考えを伝えることができます。科学英語ではシンプルかつ誤解のない文章が要求されますので、冠詞の持つ意味は一般会話英語に比べるとかなり大きいといえるでしょう。
一般的な英文法のルールから「誤り」を指摘することはできますが、the VS 無冠詞/aの使い分けは、究極のところ「あなたにしかわからない」領域なのです。(the≒強調と考えてもどこを強調するかはあなたにしかわからないのです。)
とはいえ、私も現在英語の修行中。冠詞はいつまでたっても修正の対象になります。なかなか難しいですけど、”伝えたいこと”を考えて意味が明確になっているか確認してみると、迷うことが少なくなってきたように感じます。参考になれば幸いです。