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ロータリーエンジンは何故、マツダだけ?

ロータリーエンジンの実用化に真っ先に成功したのがマツダだったとして、何故、現在、乗用車でロータリーエンジンを開発しているのがマツダだけなのでしょう。 ロータリーエンジンのデメリットもありますが、メリットも大きく、まだまだ、今後の研究により大きな可能性があると思いますが、マツダ以外が製造、販売しない理由は何かあるのでしょうか。 欧州やヨーロッパの排ガス規制もあるかと思いますが、資本力の小さなマツダでさえも技術的に解決できるわけで、大メーカーができない筈もないと思うのですが・・・

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noname#12265
noname#12265
回答No.4

 自動車研究機関で研究員として就労している者ですのでとりあえず専門家とさせて頂きましたが・・・・厳密に申しますと熱力学は専門ではありませんが、技術者の方がどなたも回答されていない様ですので、ご参考までに回答致します。  ロータリーエンジンを発明したのはNSU社(現在のアウディ社の4つの輪の一つ~アウディとは4つの会社が合併して誕生した会社で、故にエンブレムが4つの輪になっています)のバンケル博士で、NSU社が最初に量産しました。  当時は画期的発明品として、世界のほとんどの自動車メーカが技術導入、或いは委託開発等の契約を結んだと思われます(東洋工業さん~現マツダ~は、NSU社のパテントを購入する形で技術導入した様です)。  しかし、多くのメーカが研究段階で、或いは2~3の量産車の開発でロータリー計画を破棄し、最終的に残ったのはノートン(英国のバイクメーカ。1ロータのバイクを生産し、これは主にスコットランドヤードの白バイとして使われています)とマツダでした。  さて、ロータリーエンジンは内燃機関としては致命的とも言える2つの欠点を有しており、今日では、良識ある(?)メーカは早い段階でその点に気づいたと見られています。 1.アペックスシールとサイドシール  ロータリーは1つのロータが吸気・燃焼・排気行程を同時に受け持っている為、各部屋毎の完全なシールが必要です。しかし高温・高圧にさらされるシールは摩擦の少ないテフロンやデルリンなど合成樹脂系シールを使えるはずもなく、ピストンリングの様なバネ材をロータの三角の頂点とロータの側面に配する事になります。  初期のロータリーではこのシールがガンで、板ばねや各部屋間の圧力差でシールをロータハウジング内に押し付けますが、何しろ摺動方向にはほとんど厚みがない板状の部品、ハウジング内面との摩擦力で振動し、チャターマークとゆぅ溝をハウジング内面に刻んでしまいます。  このチャターマークはシールの構造上ほとんど回避不可能とも言える現象で、多くの自動車メーカがこの現象の為にロータリーエンジンの開発を断念した、と言っても過言ではありません(そして、元祖NSU社でもこの問題を解決出来ませんでした)。  しかし東洋工業は、シール形状と材質、表面処理等の工夫により、市販車としての水準に達する耐久性を持たせる事に成功しました。この点はマツダの一人勝ち、と言えるでしょう。  実際に調べたワケではありませんが、恐らくマツダのロータリーエンジンのシールは、特許と実用新案でガンジガラメに守られているはずです。これが、今日他メーカがロータリーを再び開発しにくくしている理由の一つとなっていると思われます。 2.燃焼室形状  ガソリンは爆発物の中では、比較的燃焼がゆっくり進行する物質です。  現在のガソリンエンジン技術では、馬力と燃費、それにクリーンな排ガスの為に燃焼自体をコントロールするところまで来ています。  点火プラグから近い混合ガスほど目論見通りの燃焼が得やすく、膨張の進行に伴って燃焼室容積が増加するピストンエンジンは大変都合がよい機構であると言えます(いくら高回転を狙えるからと言って異常なショートストローク~つまりピストンのボアを大きくして排気量を稼ぐタイプのエンジンは、近年では作られていません。これは、ワイドなボアでは燃焼室の外れの方の混合気が点火プラグと離れすぎてしまい、燃焼コントロールが難しくなるからです)。  さて、ここでロータリーの燃焼室形状を思い出すと・・・・見事なまでの『ダンビロ』です。これでは、ピストンエンジンに比べ燃焼コントロールがかなり不利である事は否めません。  ロータリは機械損失が少ない為ピストン方式に比べ高効率であると思われておりますが、燃焼がピストン式に比べコントロールし難い以上、ピストン式より熱力学的に高効率である事はありません、どころか、ピストン式の効率と同等にする事さえ困難であると考えられます。  よって、同じ馬力ならロータリエンジンは燃費が悪いワケです。馬力とは爆発力で、爆発力とは燃料を燃やした量でザックリと決められます。もしロータリ方式の効率(=燃焼を軸トルクに変える変換効率)が高いなら、ピストン方式より燃費がよくなるはずですが、現実はそぅなっていません。  勿論、燃焼が効率的に進行しないなら、排ガスに関してもピストン式よりクリーンになる、とゆぅ話も考えにくいところです。  この燃焼室形状は、ロータリーエンジンの今後の発展性を考える場合でも、すっかり暗くなってしまう要素と言えます。ピストン方式の内燃機関に莫大な経験と長い実績を持つ他の自動車メーカが、今更先行き不安なロータリーエンジンの市場に再参入するとは思えません。 ・・・・以上の様に、ロータリエンジンとは機械工学的にも熱力学的(←エンジンの本質的性能を決定するのは機械工学の話ではなく熱力学の話です)にも致死的デメリットを内包しており、その点に気づいた多くのメーカが開発を断念したとゆぅのが真相です(ロータリーエンジンはかつて、『世界3大技術サギ』の1つ、などと言われた時代さえありました)。  マツダでは、一時期ロータリーエンジン開発の中止を匂わせる様な発表もしていましたが、これを聞いた世界中の自動車エンジニアの半分以上が「あぁやっぱり」と思ったでしょう・・・・。

kesorap
質問者

お礼

専門的な見地からのご回答ありがとうございます。 参考になりました。 ところで、燃焼コントロールの不利というデメリットに対して、ガソリン以外の燃料、例えば水素など燃焼しやすい燃料の場合、ロータリーのメリットもあるかと思いますが、レシプロの研究開発規模を考えると、あえてロータリーを研究する必要もないということでしょうか・・・。

その他の回答 (5)

  • openM
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回答No.6

その昔、ベンツでもロータリーエンジンの車をつくっていたそうですよ。 まあ、つくっていたというだけですぐ消えたと思いますが。 あとトヨタにもロータリーエンジンの特許があるって聞きました。 2~3年前の雑誌に乗っていたような気がす。 ロータリーエンジンの生い立ちはNHKのプロジェクトXでやりました。 反響もあって再放送もされましたが次はわかりません。 ビデオが出ればそれを見てください。 けっこうおもしろかったですよ。 興味があるようだったら見てください。 個人的には熱心なロータリー信者なんで燃費が悪かろうが関係ないっす。 それ以上のものがあるような気がしますから。

kesorap
質問者

お礼

ご返答ありがとうございます。 プロジェクトXは私も見ました。 残念ですが、どうやらビデオは出ないようです。

  • SLEEP
  • ベストアンサー率17% (7/39)
回答No.5

第2次対戦中のドイツ軍急降下爆撃機のユンカース・スツッカがロータリーエンジンだったという話を聞いたような気がしますが、気のせいでしょうか。 マツダ以外ということであれば、模型エンジンメーカーの小川精機(OS)がアルコール燃料のロータリーエンジンを売っていた覚えがあります。これは確かです。

kesorap
質問者

お礼

たしかカート用とかもあったような気もしましたが、自動車用以外は、あるんですよね・・・。小型というのがメリットなのでしょうかね。 ありがとうございました。

回答No.3

古くは蒸気汽船を発明したフルトンも研究していたというロ-タリ-エンジン ですが、未だ完成品と呼ぶには程遠いもので、マツダは未だに年間何億という お金をかけて更なる開発をしているのが現状です。 そもそもロ-タリ-エンジンは他のエンジンより理論上は燃費が良いはずです。 それが燃費が悪いエンジンというイメ-ジが定着してしまっているぐらいですから 、本当のロ-タリ-エンジンが完成するにはまだまだ多くの開発費と時間そして 人材が必要になります。 他の会社はそこまで投資するほどロ-タリ-エンジンに魅力を感じていないの かもしれませんね

  • kikumaro
  • ベストアンサー率48% (127/261)
回答No.2

No.1で回答した方に追加で… 昭和30年代に日本の自動車産業(会社)の整理・統合を図ろうと政府が動きました。その時にマツダは何とかして生き残る方法を模索していました。 丁度そのとき、ドイツの小さな研究所(名前は忘れました)がロータリーエンジンの開発に成功したとの報道が流れ、社運を賭けてマツダはこの試作機・版権を超・高額金で買い取りました。 しかしこの試作機がひどいもので、まともなものではなかったそうで、それを基にと言うよりも一から作り変える必要があったと言われています。 回転を上げてもロータリーのアウターが壊れなくなったのは、マツダの何年にも及ぶ研究の成果でしょう。 ただこのエンジンはオイルショック時代には『悪魔のエンジン』とさえ言われたくらいに燃費が悪く、世間的にもそういうイメージがありますよね。 これを払拭する為に『ル・マン』に出場して、イメージの一新と、ロータリーエンジンの燃費の向上を図ろうとしました。でもそこで勝つ為には更に10年もかかりましたけど… 各メーカーでなぜ製造しないのかは分りません。 パテントをマツダが持っているとしても、性能的にいいものであればパテント料金を支払ってでも各メーカーが作ると思われますので、それをやっていないのですから、少なくともパテント料金を支払ってでも製作することがプラスとはならないようですね。 私も以前、FCやFDに乗っていましたが、FCの時にはリッターあたり2.0~2.5Kmの燃費(東京都内)でしたから、結構泣きました。FDではちょっとは改善されていましたけど。 だから今でもマツダは“趣味性の強い車種”にしか搭載しないのではないのでしょうか?

kesorap
質問者

お礼

>少なくともパテント料金を支払ってでも製作することがプラスとはならないようですね。 理屈で考えると、確かにそうですね。 そう言えば、最近、ロータリーは低速のトルクが細いので、車重の軽い車である必要があるようなことを聞きましたし、小さなロータリーエンジン用にシャーシーを設計するのもコストがかかることを考えると、プラットフォームの統合には不向き・・・ってことなんでしょうかね。 ありがとうございました。

回答No.1

ロータリーエンジンって、未だ使われていたのですね。 専門の方に詳しく答えていただけると思いますが、初代RX7に乗っていた頃に マツダの小冊子で読んだ話では・・・・。 ロータリーエンジンの基礎技術開発はヨーロッパの小さな研究所で、マツダは そこと独占契約をして、製品化開発をしたということです。 一時期、トヨタ等でも採用の検討はあったらしいのですが、マツダとの条件が 合わずに断念したらしいです。 その後、ロータリーでなくても高性能エンジンが作れるようになり、既に廃った と思っていました。 10年以上も前の話なので、おぼろげで申し訳ございません。

kesorap
質問者

お礼

ご返答ありがとうございます。 そうです、まだ作り続けています。 ロータリーエンジンという個性がなければ、極東の小さな自動車会社でしかなかったので正しかったのではないかと思っています。 フォードのブランド戦略として、マツダはスポーツカー路線で行くことになったようですが、フォードもトップが入れ替わり、お家騒動の真っ最中だそうですので、どうなるのか・・・。

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