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F因子

大腸菌のF因子の発見は、供与と受容という一種の性を支配する点で大変興味深いものだったと思います。F因子が染色体に含まれるHfrと、含まれないがプラスミドとして存在するF+はいずれもF-に接合してDNAを伝播しますよね?これは、このFプラスミドが接合架橋に関わる遺伝子をコードしているからでしょうか?  またそれならば、世のすべての大腸菌はF因子を持つようになると思うのですが‥。どうしてF-が存在するのでしょうか?どなたか、無学な私に教えて下さい。

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回答No.1

少なくともF因子には、F線毛(F pili)を生じさせる遺伝子があり、F線毛はF-菌に接合するのに必要です。 すべての大腸菌がF+にならないのはなぜか。ちょっと古い本ですが、クローの「遺伝学概説」には、まだはっきりとはわかっていないとあります。しかし、いろいろな条件でF因子を失う場合があることがわかっているそうです(アクリジン色素の添加など)。 私が想像するに、F因子のような核外因子は細胞分裂のとき均等に振り分けられるとは限らないからじゃないかと思います。ある頻度で、F因子をもった細胞から持たない娘細胞が生じるのではないでしょうか。 実際、F因子はかなり頻繁に抜けます(落ちるといっていますが)。クローニングのホストとして使う系統の中には、F'因子(F因子にホスト由来など、外来の遺伝子を含んだもの)がなければ用をなさないものが少なからずあります。ストックから起こすときに、F'+だけが生育できる最小培地で選択してから使ったりしますが、大量培養したり、長時間だらだら培養したりすると、F'が落ちた細胞が必ず出てきます。 lacZによるblue/whiteセレクションで、コロニーが青くなるプラスミドベクターのはずなのに、青くならないなんていうのは、ホストからF'因子が落ちて、それに必要な遺伝子を失ってしまうためです。

haru84
質問者

お礼

丁寧にお答えいただきありがとうございます。 なるほど、大腸菌からF因子が落ちることは、染色体とプラスミドの関係から考えてもありえますね。この水平伝播の仕組みは生物の柔軟な一面を示しているようでとても興味深いです。それと、この因子を発見したのは当時21才のエール大の院生だったということを知って驚きました。ありがとうございました。

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