なぜ政府は、人命救助につながる援助をうけないのか
私はフランス在住のものですが、福島第一原発で復旧作業をする方々のことを思うと胸が締め付けられるようです。
一昨日(3月19日)のル・モンド紙に下記の記事が載っておりました。一刻を争う緊急事態の中で、なぜ日本政府がこうしたフランスの提案を直ぐに受けないのか、一市民として、大変に疑問に思っております。想像するに、現場の足場も悪く、直ぐには使えない可能性もあります。しかし、とにかく揃えて置く。少しでも人命を救うことになるかもしれない、こうした提案を直ちに受けて、オプションを持っておくことの大切さは言うまでもないことと思います。フランスの援助を受けるか否かは、内閣府が決定することかもしれませんが、決定者が、自分の息子を今、事故原発の中に送り込まねばならないとしたらと想像して、判断してもらいたいと思うのです。
2011年3月19日付け、「ル・モンド」紙の要約です。
放射線は人命を危険に晒すが、ロボットは人間の代わりとなって、破損した原子力発電所の中に入っていくことができる。ロボットに人間の仕事をさせることは可能であろうか。これはフィクション映画のシナリオではない。フランスは、放射能に晒される危険な環境下でも、人間に代わって各種の作業を行うことの出来るロボットを保有している。EDF(フランス電力)社長のアンリ・ブログリオ氏は、福島第一原子力発電所の復旧作業を手助けするため、このロボットを日本に送ることを日本政府に提案している。しかし、まだ日本はこの提案に回答を寄せていない。
フランスにおける原子力関連の主要企業はEDF社、CEA社、AREVA社の3社であるが、この三社はINTRAと呼ばれるプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトは、原発事故等の極限状況に対応できる特殊な機械を保有することを目的としており、同時にこうした機械を使用できるチームを形成することにある。INTRAは現在20体の機械を所有している。小型タイプの機械は、指示通りに移動し、長さを計測し、ものを取り、ビデオを撮影し、ドアを開閉し、コック(蛇口や栓)の締め付け等の作業を行うことができる。大型タイプの機械は強力な油圧式アーム(腕)を備えており、金属製のチューブを切断することも、溶接を行うこともできる。また火災時等に核燃料を冷却するための給水ホースのノズルをつかむことができる。これは今、福島で検討されているオペレーションの一つでもある。このINTRAの機械は実用に耐えられる特殊な防備措置を具えており、過酷な環境下でも十分に対応できるものである。