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『仮託』の意味がよくわかりません
辞書で調べた際に、~に仮託してという使われ方は出ていて理解できるんですけど 仮託される・仮託するとはどういう意味でしょうか?
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「仮託」はきわめて複雑な使い方をされている言葉です。どの辞書をみても簡単な説明しかないので、ぜひ辞書編纂者には研究してほしいところです。 「仮託」は何らかの形で事実でないことを言って偽装・弁解することを意味するようです。事物Aに関する事実Bを言う代わりに、非事実Cを言って偽装または弁解することを、「AをCに仮託する」といいます。ただし、必ずしも悪意があることは意味しないようです。 (1)「土左日記は女性に仮託して書かれた」 検索で多く出てくる用例です。土左日記の著者は男性ですが、架空の女性の筆に託して書かれているということです。 http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/30/1/3001310.html (2)「信仰上の理由に仮託して履修拒否をしようという者が多数に上るとも考え難いところである。」 判決文でよく使われる表現のようです。Aを言い訳(口実)にしてBをする、というのを「Aに仮託してBをする」と言っています。 http://www.hiraoka.rose.ne.jp/C/960308S2.htm 「財産分与に仮託してされた財産処分」 有名な判例らしく、検索でたくさん出てきます。離婚に伴う財産分与を口実にして、自分の財産を他人の名義にし、差し押さえ等を逃れる行為を意味します。 「http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/rikoishaka.html 上の(1)(2)が出発点となって、さまざまな場面で「仮託」が使われているようです。(つぎの用例は作り物で、実際に収集したものではありません) (a)「歴史上の事件に仮託して現代の政治を批判する」 歴史上の事件を述べている文のようだが、実は現代の政治を批判している場合。 (b)「手当に仮託して給与を増額」 手当という名目で給与を増額することです。 (c)「歴史上の有名人を開祖として仮託する流派」 実際にはその人物が流派を開いたわけではないが、その流派ではその人物を開祖として仰いでいるという場合です。 (d)「動物の世界に仮託して人間の行動を風刺」 動物の話をしているように見えるが、実は人間の行動を風刺している場合です。ここまでくると、「口実にする」といった本来の意味からかなり離れ、「たとえにしている」という意味に近づきます。 (d)「人類の将来をこの技術に仮託する」 委ねるという意味で使っていると思いますが、本来の意味から言うと誤用だと思います。
お礼
とてもよくわかりました。ありがとうございました。