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「クローン=まったく同じ遺伝的特徴をもつ」ではない?
下記のページ(科 学 技 術 庁)のクローンって何?という記事を読みました。 そこで、 「クローン技術により同じ親から生み出された子同士は、ほとんど同じ遺伝的特徴を持つクローンとなります。また、成熟した個体(生体)の体細胞を使ったクローンの場合には、親と子もほとんど同じ遺伝的特徴をもちます。」 とありました。 ここで疑問なのですが、私はこれまでクローン技術によって作られた子は親と遺伝子的に全く同じ、また子同士も遺伝的に全く同じと思っていました。しかし上記では、「ほとんど」となっています。これ以外のところでも、「全く同じ」ではなく「ほとんど同じ」になっていました。 ここで質問なのですが、クローン技術によって作られた個体は遺伝的に全く同じではなく、ほとんど同じ、となるのはどうしてなのでしょうか。 どなたかご存知の方教えていただけるとうれしいです。 よろしくお願いいたします。私は一般人で、クローンに関してはたまに新聞を読む程度の知識しかありません。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/shisaku/kuroun.htm
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核移植でのクローン作成ですね。これは完全なクローンにならない場合があります。 たとえば、羊Aのクローンを作るとしましょう。ここから、遺伝子が含まれている核を吸い取ります。そして、羊B(オス)と羊C(メス)の受精卵からも核を取り除きます。ここに羊Aの核を注入し、発生させます。こうしてできたのが羊Aのクローンということです。これは果たして羊Aと同じ遺伝子組成を持っているのでしょうか。核が同じなので遺伝子組成は同じに見えますが遺伝子はミトコンドリアにも含まれます。このミトコンドリアのDNAは母親から遺伝してきます。では、このクローンのミトコンドリアDNAは誰のものでしょう。羊Cのものなのです。ミトコンドリアのDNAは非常に微量でほとんどの部分がガラクタですのでほぼクローンという言い方をするのです(学術的には核細胞質雑種)。つまり、このクローンは羊Aと核に含まれる遺伝子は100%同じですがミトコンドリアの遺伝子だけが異なる個体というわけです。 一卵性双生児の場合はどうでしょうか。一卵性双生児は受精卵が細胞分裂中に何らかの影響により二つにわれ、それぞれが発生していき個体となります。つまり、核のDNAもミトコンドリアのDNAも同じというわけです。 兄弟の場合は核のDNAは異なりますけどもミトコンドリアのDNAだけは同じです。母親からしか遺伝しませんからね。 それと突然変異ですがほとんど考慮しなくていいと思いますよ。突然変異自体が確率が低い上、遺伝子検査をしますからね核DNA自体は100%クローンと見ていいと思います。
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- hagfish
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ひとついい忘れました。核移植には体細胞の核と卵細胞の核を使う場合があります。高校でどの細胞にも体を作るすべての設計図(遺伝子)が含まれていると習ったはずですので疑問に思われるかと思います。体細胞、たとえば上皮細胞としますと確かにすべての遺伝子は持っているのですが上皮細胞に必要な設計図以外はブロックされているんです(遺伝子が発現しないようにされている)。つまり、上皮細胞に必要な設計図しか使えないようにされているため、移植する核にこのブロックをはずす処理を施さないと核移植した胚は上皮細胞にしかなれず個体を形成できないんです。しかし、卵細胞はこれから分化する細胞ですからね。このブロックがまだされていないため、この処理がいらず、取り出した核をすぐさま移植に使えるというわけです。つまり、卵細胞の核を移植するほうが技術的に簡単であるということです。
お礼
hagfishさま、度々ご回答いただきありがとうございました。なるほど、すでに分化した細胞にはそれ以外の遺伝子が発言しないようにブロックされていて、そのままでは、移植してもそこからはその部分しか分化しないとうことですね。よくわかりました。 それに比べると卵細胞は分化する前の細胞だからそのブロックをはずす必要がないということですね。大変よくわかりました。ありがとうございました。
- foobar
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可能性としては、以下のふたつがあるかと思います。 1.体細胞でも細胞分裂の際に、ある一定の割合で遺伝子が変異しています。このため、まったく同じ遺伝子を持った核が得られるわけではないかと。 2.細胞には核以外にもミトコンドリアが遺伝子をもっています。このため、体細胞を取り出した親と別の個体の卵細胞を使うと(オスの場合にはそうするしかないのですが)、ミトコンドリアの遺伝子は核の遺伝子を提供した個体ではなく卵細胞を提供した個体の遺伝子を引き継ぎます。
お礼
foobarさま、ご回答ありがとうございました。 >体細胞でも細胞分裂の際に、ある一定の割合で遺伝子が変異しています。 つまり、無性生殖でも、親と子、子と子は同じ遺伝情報をもつわけではないということですか?初めて聞きました。やはり学校の授業で習うことは少し違うのですね…。 申し訳ありませんが、2に関しては、ミトコンドリアの話が入って、少し難しくてわかりませんでした。 クローンは受精後の細胞と、生体の体細胞を使うやり方がありますよね?その際にどうして卵細胞が必要になるのでしょうか?もちろん、卵細胞が介在すれば、遺伝上異なることは明白だとは思うのですが。
遺伝子にはテロメアという、細胞分裂によりどんどん擦り減って短くなっていく部位が両端についています。それは60回ほどの細胞分裂で無くなってしまい、そのために老化が始まります。クローンで生まれた子は、親のテロメアの長さを受け継いで、親がたとえば30歳のときにクローンを作ったとすれば子の細胞の年齢も30歳からのスタートになってしまいます。よって今の技術ではクローンは未完成と言えます。 このことを意味しているのではないでしょうか?
お礼
SnugAlleyさま、ご回答ありがとうございました。 そういえば、受験の時にテロメアについて少しだけ聞いたことがありました。 >クローンで生まれた子は、親のテロメアの長さを受け継いで、 そうなんですか?クローンというのは、「どの細胞も、今、分化している以外の遺伝情報もすべてもつという、全能性というので、そこから分化していく」というような感じで理解していたので、私は今テロメアと聞いて、テロメアもすべて新しくなる(最初から)のでは?と思ってしましました。れば、すべて真新しくなるのかと思いましたが、そうではないということですね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 ♯2の方のご回答とともに読ませていただきました。ミトコンドリアが出てくる理由がやっとわかりました。細胞には核だけでなく、ミトコンドリアも含まれるから、核移植だけだとミトコンドリアのもつ母親の遺伝子が混じってしまうため、全くのクローンとはならない、ということですね。みなさんのご協力により理解を深めることができました。ありがとうございました。