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政党が憲法上認められる理由付けについて
政党が憲法上認められるとされますが、その 理由付けとして、議院内閣制がとられているから、と いわれます。 何故、議院内閣制がとられているから、政党は 憲法上認められる、となるのですか? ご教授ください。
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>何故、議院内閣制がとられているから、政党は 憲法上認められる、となるのですか? 芦部『憲法[第3版]』264項によれば、「結社の自由を保障し議院内閣制を採用しているので、政党の存在を当然のこととして予想している」とされています。 この記述からは議院内閣制を採用しているので政党は 憲法上認められるという関係は直接読み取れないと思います。 そこで、政党は結社の自由の保障によってそれ結成やそれへの加入、またはそれを結成しないことやそれから脱退すること、内部の自律が認められるものと解します。 以下八幡製鉄事件最高裁判決(最大判S45.6.24)を引用します。 「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは、国民としての重大な関心事でなければならない」 「議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべき」という部分が芦部教授の記述と同旨のようです。 このような議会制民主主義・議院内閣制との関係は、政党が他の結社と異なり、公的な性格や機能を有するという理解に繋がるものではないでしょうか。 そこで私はNo.2の方と同様に、政党の結成・活動の保障は直接には結社の自由の保障によってなされ、議院内閣制ないし議会制民主主義は政党に公的な性格や機能という側面を付与するものと考えます。 日本国憲法が議院内閣制を採用していることは、内閣の連帯責任(憲法66条3項)、内閣不信任決議権(69条)、国会による首相指名(67条)、首相および国務大臣の過半数は国会議員であること(67条・68条)から明らかとされます(芦部『憲法』303頁)。 No.1の方がおっしゃる「議院内閣制において、内閣が安定して職務を執行していくには、議会の過半数が一致団結して、首相を支えていく必要があります。」というのは、内閣不信任決議権および国会による首相指名に関する理解としてそのように思います。 このように行政府の長を議会が選出する制度のもとでは、行政府の長を安定的に選出・維持するために議会のなかにその支持勢力が制度的に必要となります。 政党は一定の政策目標や理念を掲げて政治に参画するのが目的の組織ですから、行政府の長を安定的に選出・維持する議会における支持勢力の最たるものとなるのだと考えます。 この理解は内閣=与党の連携であり、「政党国家」として内閣vs議会が内閣=与党vs野党(=影の内閣)へと変容したとの理解に通じるものと思います。
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- beweislast
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議院内閣制にはいくつかの要素がありますが、内閣の存立が議会の信任に依拠することを要素として挙げられます。 これには、争いはないでしょう。 それに対して、政党が発達すると、議会を支配する第一党が内閣を構成しますよね? そうすると、「議会の信任」というより、『第一党の信任』になってしまいます。 これは若干の矛盾が生じているように思われます。 現に佐藤幸治先生は、そのように考えていらっしゃるようです(憲法・現代法律学講座第三版207、128頁) 議院内閣制を採用=政党は憲法上認められる という関係は認めないのでしょう。 まぁ、こういう見方もあります。 私も芦辺憲法を読んでみました。 芦部先生がどのような考えをお持ちかは、不明ですけど、 #3さんのおっしゃるように >「結社の自由を保障し議院内閣制を採用しているので、政党の存在を当然のこととして予想している」 >という記述からは議院内閣制を採用しているので政党は憲法上認められるという関係は直接読み取れない と私も思います。
お礼
お返事ありがとうございます。 beweislastさんのお考えが素直な考えなのだと 思います。 考え方のヒント・参考に なりました。 ありがとうございました。^^
- TT0909
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憲法上認められるという直接の理由は集会・結社が憲法で認められているからではないでしょうか。 議院内閣制は政党の意義や役割を示す部分だと思います。
お礼
お返事ありがとうございます。 直接の理由は、集会・結社が憲法上認められるという ことは当然ですし、何故これが理由となるかも 分かっております。 もっとも、議院内閣制も、重要な理由付けで あることにかわりはないと自分は考えます。 政党の役割の点から、議院内閣制という理由付けに なるとお考えですね。 参考になりました。 ありがとうございました。^^
- utama
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議院内閣制において、内閣が安定して職務を執行していくには、議会の過半数が一致団結して、首相を支えていく必要があります。 もし、首相の指名が、団結した過半数の議員によらないとすると、首相は指名された次の瞬間から不信任の危険にさらされることになります。 どの政党も単独過半数を獲得できず、連立政権になると、内閣が不安定になるというのは、色々な国の例や、かつての日本の例からも明らかでしょう。 もし、政党が無いとすると、これがさらに進んだ状態、つまり、現在だと最低241人のばらばらの議員によって支えられた連立政権という状態になってしまいます。 3党、4党の連立政権でも十分不安定なのに、何百人ものばらばらの考えを持った国会議員に内閣を安定して支えていく力はありません。このような状態では、内閣は常に国会の顔色をうかがわなければならず、適切な政策の遂行が困難です。 つまり、日本の政治における、政党の一番の意義というのは、内閣を一致団結して支えるという点にあります。首相指名や、不信任決議などに造反した所属議員に対して、除名等の厳しい処罰をかすというのは、議員内閣制の下で、内閣を支えていく上で当然必要なことです。 よって、日本国憲法が、議院内閣制を規定しているということは、その前提として、当然、政党の存在も認めているはずです。
お礼
一番にお返事いただいたにもかかわらず、 遅いお返事で大変申し訳ありません。 ご説明、大変参考になり、考えるヒントと なりました。 ありがとうございました。^^
お礼
ご返信ありがとうございます。 ご指摘の芦部先生の該当記述のところをまさに悩んでおりました。 ここの記述から直接には政党が憲法上認められるとは読み取れないとおっしゃるのですね。 まさに、自分も「直接」読みとれないからこそ、ずっと悩んできました。 議院内閣制は、政党に公的な性質(役割)を付与する側面 に対する理由付けとお考えになるのですね。 ただ、自分は、議院内閣制は、公的性質(役割)を付与する側面に対する理由付けになるけど、政党が憲法上認められるという理由付けにも両方なると思います。 例えば、国会は民意の反映・統合という役割がありますよね。 ここから、国会は憲法上認めれるということが導かれると 思います。裁判所についても、司法権の独立を図り人権を保障する役割があるから、憲法上「司法」の章で保障されるということが導かれると思います(この組み立て自体が間違っていたら、論理が崩れるのですが。。。)。 政党と国会・内閣は大きく異なるといえますが、いずれも 機関であり(佐藤先生の教科書に政党は機関とありました)、同じ機関である以上、政党についても、~の役割の観点から憲法上認められる、という論じ方が可能なはずです。 すなわち、「議院内閣制が憲法上採用されているが、政党は議院内閣制において不可欠の存在であり、それ故公的に きわめて重要な役割を果たす。従って、政党は憲法上保障される」と。。。 故に、議院内閣制も立派な理由付けになるのではないかと。 ただ、自分は未だにすっきりしません。。。 そこで、この場で質問をしたのです。 法律は、根本・原則からはずれてはいけないけれど、 はずれていない限り(根本・原則に乗っかっている限り)、ある程度自分の考えで論理を構成してもいいはずです。 自分の上記の論述は、大きくはずれているとは 思えないのですが。。。。 ただ、Shouhitaishaku様のお考えがすごいすっきりと しているので、それでいくのがスタンダードだとは 思います。 とても丁寧に教えていただいているのに、えらい生意気なことばかり言ってすいません。 大変参考になりました。 ありがとうございました。^^