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「するべき」の反対語は「しないべき」??
「…するべき」の反対語は「…するべきではない」だと私は思っていますし、ネット上などで「…しないべき」と言って「それは間違いだ!」と指摘を受けている例も時々見かけます。 しかし、文法的に考えると、辞書によれば「べし」は活用語の終止形につくので、「…しないべき」も正しいことになるのでしょうか。間違いだとしたら、その文法的な根拠は何ですか?
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言語学やってます. 確かに難問ですね. 論理的には「するべきではない」と「しないべきだ」とは同じだと思われますからね. 日本語は専門外ですし以下は全くの私見ですので, 別の解釈があるかもしれません.ご了承下さい. まず「べき」に接続するものが両者で異なるものであることから始めましょう. 「するべき」では行為を表す動詞「する」が接続するのに対して, 「しないべき」では形容詞と同じ活用をする「しない」が接続しています. 恐らくは,動詞の否定が「~ない」といった形容詞的なものである点が問題なのでは,と思います. というのも,「べき」に接続するのは動詞だけであり, 「青い」とか「若い」とかは直接接続できません. 「青くあるべき」のように存在動詞「ある」をつけるのが一般的でしょう. 同じように「しないべき」も不可能なのであって, 接続させるためには「しないでいるべき」ですとか, 下の方のように古語風に「せざるべき」とすべきなのだと考えられます. なお,「ざる」ですが,こちらは現代語では西日本中心に広まっている「ん(ぬ,ず)」の原型であり, 動詞活用をするので「べき」が接続できるようです. さて問題は, (1)なぜ形容詞は接続しないか (2)なぜ否定は形容詞なのか といった2点です. (1)の問題について考えましょう. 「A~べき」という場合, それは「非A」から「A」という行為によって主体か客体が変化します. 例えば「太郎は勉強すべき」という場合は, 「勉強していない状態」から「勉強する」ことによって太郎が変化します. ま,頭が良くなる,とでも思えばよろしいでしょうか. すなわち,「~べき」という語には潜在的に「変化」という意味が含まれます. ところが形容詞には「変化」はありません. 「太郎は大きい」にしても「そのペンは赤い」にしても 「性質」を表しているのであり,変化を考慮に入れていません. ここで「太郎はいずれ背が曲がって小さくなるのでは」とか 「そのペンは色を塗れば別の色になるのでは」といった 「無理矢理」変化を加えれば当然ながら変化は考えられますが, 「性質」に本質的ではありません. 一方,「勉強する」とか「食べる」とかいった行為動詞ですと, 当然変化は切り離すことはできない本質的なものとなります. また,状態動詞にしても「明日は試合がある」のように, 「性質」にやや近いものとはいえ,「変化」を考えることができます. というわけで「べき」には形容詞が接続しにくく, 補助動詞を介在させて「青く-ある-べき」としなければならないと思われます. なお,同じ問題は命令形などにもあります. 「しろ」と動詞は単独で言えるのに対し,「青くあれ」 のように,形容詞は単独では言えません. 命令とはすなわち「変化しろ」と言っている訳ですから納得できそうです. では(2)の問題について考えましょう. 印欧諸語では否定は単なる接辞であり,肯定も否定も本質は変わりません. しかし,日本語では否定は形容詞と同じ振る舞いをします. これは否定が「性質」を表しているからだと考えられそうです. 「する」には上述のように「変化」があり,動詞として扱われます. 一方「しない」は行為を実際には行わないのですから, 「変化」はないことになります. となれば「しない」が形容詞と同じ扱いを受けるのは ある程度理解できるのではないでしょうか. 「否定」は論理学的にも言語学的にも実に厄介です. 他にも色々問題があるかと思いますが, 長文なのでこれにて失礼.
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- sion99
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#3です。 「…せざるべき」はあまり使う機会はないかなと過去を振り返って思ったのですが… 普通に「“これこれこういうこと”はせざるべきと私は思うけど…」というように使っています。 「缶やタバコのポイ捨てや立小便は、人としてせざるべき行為と思います」 とかかな… でも、ちょっと堅い感じになってしまうんですよね。 時代劇みたいに古臭い感じ。 あとは、「…すべきではない」と、「る」をはずして使うこともあります。 「缶やタバコのポイ捨てや立小便はすべきではない」という風に… うーん、今まであまり気にしないでいただけに、ちゃんと考えるとわからなくなってきてしまいました。
- mannequincat
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小便するべからず。ならハイハイと返事してつつしみますが、小便しないべし。とあったらシャアアとやりますね、無理にでも、したくなくても、力をこめて。
お礼
同感です! 私もやりたくなりそうですね。 笑わせていただきました。おもしろい回答、ありがとうございました。
- gagambo
- ベストアンサー率41% (136/331)
こんにちは。 どの部分を打ち消すか、ではないでしょうか? 元が「す/べし」ですので、 「す(動詞)」と「べし(助動詞)」のどちらも打ち消しが可能です。 「しない/べきである」という意味にするなら、 「せ/ざる/べし」となります。 意味は「しないのが適当である」です。 「する/べきではない」という意味にするなら、 「する/べから/ず」となります。 意味は「するのは適当ではない」です。 以上のように、行為を打ち消すのか、適当であることを打ち消すのか、 前後の文章によって使い分ければいいと思います。 古典文法的に解釈いたしましたので、 現代文でも相応に考えていただければと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 「しないのが適当である」と「するのは適当ではない」のニュアンスの違いはいまいちよくわかりませんが、おっしゃる意味はわかりました。 ということは、「…しないべき」は文法的にも日本語の表現としても間違っていない、ということでしょうか? 私の感覚では「しないべき」というような表現を使うと、かなりの確率で指摘・注意を受けるように思いますが。 それで、手元の辞書を3冊調べてみたのですが、この言い方を間違いとする根拠が書かれていないように思ったので、この場で質問した次第です。
- sion99
- ベストアンサー率27% (85/310)
私の場合は、「…するべき」の反対語として「…せざるべき」と使っています。 でも、小説やマンガで使われていたから、「…せざるべき」と使うようになったので、文法的にこれが正解かどうかがわかりません(汗) すみません。
お礼
回答ありがとうございます。 「…せざるべき」は、たとえばどんな言い回しで使われることが多いのでしょうか。 でも、「…しないべき」には違和感がありますが、「…せざるべき」と言われると、それほどでもないような気もしますね。不思議です。
- sion_fs
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文語では、しないべき、は間違いだと思います。 但し、口語では稀に使います。 どういう事かというと、 「しない(でおく)べき」 この()の部分が省略されているのです。 ~べき という表現は、「打ち消しの表現」に対して直接掛かることは通常有りませんので、大抵は()の部分が省略されていると考えて差し支えないと思います。 ex.行かない(でおく)べき ex.来ない(でおく)べき ex.逢わない(でおく)べき
お礼
回答ありがとうございます。 一種の省略形と考えるという説明には「なるほど~」と思いました。 「文語では間違い」というのは、書き言葉では、という意味でしょうか? また、間違いであることの文法的な説明も、もしお分かりでしたらご教示いただきたいのですが。
- m770
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文法とかには門外漢ですが、「…しないべき」とは言わないような気がします。 「止めるべき」ではいかがでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます。 「…しないべき」はやはり違和感がありますよね。
お礼
とても詳しい回答、ありがとうございました。 大変いい勉強になりました。 やはり現代の日本語で「しないべき」にはいろいろ問題があるようですね。なんとなく違和感を感じる理由も、こうしてていねいに分析していただいたため納得しました。