武士の中には、源氏だけではなく、藤原氏・平氏などを祖としてあがめているものもいます。そうなると、天皇家以外の公家を排除してしまうことは、彼らの反発も招くと思います。
日本人の血統信仰についてよく言われますが、それはとりもなおさず、源氏や平氏の子孫を称する武士たちにとっては、自分たちのルーツであり、遠い先祖の実家であるということです。実家を滅ぼすこと、自分たちのルーツを滅ぼすことになると思います。自分たちの家柄に誇りを持つ昔の武士と、家柄などまったく関係のない現代人とは少し意識が違うと思います。
また天皇の権威を利用するのであれば、朝廷をつぶしてしまうことはできません。必然的に天皇を支える人たちである公家をなくすことは出来ません。天皇だけ取り出して、権威の府を作るのも難しいです。今度は、天皇を支える別のものを用意しなくてはいけませんし、下手に天皇と誰か武家が接近することは避けたいところです。それよりは、朝廷の力を封じて小さい機構にして利用する方が、現実的だったのでしょう。
しかし、公家の勢力が増えることにも、用心しているので、秀吉は京都の御所近くに公家を集めましたし、徳川も監視をしますし、勝手に家を新しく興すようなこともできません。禄を与えたと言っても、朝廷全部で10万石ほどです。摂関家でさえ、2000石とか3000石とか、その程度です。久我家も1000石ありません。食っていくのがやっとです。利害関係がぶつかることはほとんどありません。もちろん、彼らには様々な臨時収入や武家からの寄進など援助もありますが、基本的に一般武家ほどの石高しかありません。たかがしれています。
お礼
>今度は、天皇を支える別のものを用意しなくてはいけませんし なるほど、そういうことですね。 しかし、公家は、たったそれだけしか録をもらえなかったのですね。驚きです。