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分散の加法性ってなんですか?
ずばりタイトルの通りなんですが 「分散の加法性」というものはどういう意味なんでしょうか? 素人なので わかりやすく説明いただけるとありがたいです。
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確率変数という用語を用いる方が自然な説明ができますので、そうします。Xが確率変数であるとは、Xがある値をランダムにとるというぐらいの意味であると思ってください。たとえばサイコロを一回振って出た目の値をXとおくと、Xはランダムに1から6がでますから確率変数です。分散というのはこの確率変数の値がだいたいどれぐらいばらばらに出るのかを調べるための目安になるものです。このサイコロの出る目の確率変数Xの分散は計算するとE(X^2)-E(X)^2=(1+4+9+16+25+36)/6-(7/2)^2=35/12=2.916...となります。(計算は間違っているかも。)普通は散らばりぐあいの目安はこの分散のルートをとって標準偏差と呼び、それを利用します。この場合は約1.7ぐらいになります。サイコロの目の期待値はE(X)とかいて7/2=3.5ぐらいだから、だいたいサイコロを一回振ると3.5-1.7=1.8~3.5+1.7=5.2ぐらいの目が出るという意味です。だいたいというのはあまりここでは気になさらずにいてください。 ともあれサイコロの出る目の分散はV(X)=35/12だったわけです。ここでもうひとつ別のサイコロを用意して、そのサイコロを一回振ったときの出る目をYとおくと、Yだってランダムなんだからこれも確率変数です。当然V(Y)=35/12になっているのは容易に想像がつくと思います。分散の加法性というのは V(X+Y)=V(X)+V(Y) が成り立つという意味です。要するに、サイコロを今二つふったわけです。そして出た目の合計がX+Yです。X+Yだってやっぱりランダムに2~12の値が出るから確率変数になっています(ただしここではもはや等確率に2~12は出ません。7が一番なりやすいです)。そこでこのX+Yの分散V(X+Y)を考えるわけですが、分散の加法性があれば、これが実はXの分散V(X)とYの分散V(Y)を足せば計算できるのだ、ということなのです。 だいたい二つのサイコロを振って出る目の和を考えると、それは2~12まで出る可能性があるわけだから、一個のときよりもその値のばらつきは大きいような気がすると思います。それをきっちりと表したのが分散の加法性というわけです。 ただし分散の加法性というのはいつでも成り立つとは限りません。というのは、たとえばXというのがあるAというサイコロを一回振ったときの出た目の値として、Yという別の確率変数を同じAというサイコロの一回振ったときの出た目の値を-1倍したものだとします。たとえばサイコロを一回振って3という目が出たとします。するとX=3、Y=-3になるわけです。YはなにやらXと関係のありそうな変数ですが、やはりサイコロを振らないことには値は決まりませんから、確率変数なのです。これはとても当たり前に思えると思いますが、XとYの分散はともに等しく35/12になります。もし分散の加法性が成り立てばX+Yの分散は35/6にならないといけません。ところがよくよく考えてみるとX+Yはサイコロがどんな目を出そうが0になっています。ということはX+Yの分散は0なわけです。(まったく散らばりがない) このように分散の加法性はいつでも成り立つわけではなく、二つの確率変数XとYがまったく無関係な確率変数じゃなければあまり期待できないことです。実際確率論ではこの「無関係」であるということを二つの確率変数は独立であると呼んでおり、独立である場合には分散の加法性が成り立つということが証明できます。 なおやや厳密性を欠くような説明をしているのですが、ここでは説明を簡単にするため、ということでお許しください。
お礼
ありがとうございます。助かりました。