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ST上昇の原因について。
ST低下は、心筋障害以外では低カリウム血症や薬物投与などでもみられますが、ST上昇は心筋障害のみでみられる所見ですか?電解質異常や薬物投与など、他の要因ではみられないのでしょうか?
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循環器の医師です。一般の方と考えて平易な言葉でお答えします。基本的すぎる内容がありましたら失礼します。 心電図学的に、ST低下は心内膜のみの傷害、ST上昇は心筋壁全体や心外膜側の傷害で発生します。詳細なメカニズムは省きますが、傷害部位と健常部位との間に活動電位の電圧差が発生することに起因しています。ST上昇は、典型的には心筋壁全体を傷害する心筋梗塞の初期、冠動脈の痙攣による閉塞による狭心症(異形狭心症)、左室瘤という壁運動異常が生じた場合に認められますが、心外膜の炎症(心外膜炎)でも認められます。そのほか、心筋のイオンを流す道(チャンネル)の異常を原因とした先天性疾患(ブルガダ症候群、早期再分極症候群など)や、コカイン中毒(日本では稀ですが)でも発生します。高カリウム血症などの著しいT波増高に引きずられてSTが上昇することもあります。なお、胸部誘導V1-V3におけるST上昇は、上記の先天疾患を除けば、非特異的な正常バリアントと考えられる場合が一般的です。
お礼
心筋障害以外でもみられることがあるのですね。大変参考になりました、回答して頂き有り難う御座いました。