実験心理学の領域では、「同調」というと、自分以外の多くの人が同じ行動をとっているときに、自分も別の人たちと同じ行動をとってしまうということを意味する場合が多いです。もしも、この意味で「同調」という言葉を使っているのでしたら、「他の人がみんな同じ行動をとっているのだから、その行動が正しいに違いない」という判断や、「せっかく満場一致になりかけているのに、その和を自分1人のせいで乱すわけには行かない」、「少数派になってしまうのはいやだ」といった気持ちが働くと考えられます。このように考えると、「他人とは決して100%分かりあえる」かどうかは問題ではありませんよね。
もしも、同調という言葉を、単に、誰かの意見に賛成したり、行動を真似るという意味で使っているのでしたら、いろいろな事態が考えられます。単に、自分の決定や行動に自信がないからとりあえず他者に従っておくというだけかもしれないですし、あるいは、その人に対する好意がその人の行動等を真似すること(例えば、好きな俳優の髪型を真似る)につながるのかもしれません。
いずれにせよ、「他人とは決して100%分かりあえる事」以外にも同調という行動を導く原因はたくさんあると思いますので、同調の精神状況は状況に応じて様々だということができるのではないでしょうか。
お礼
どうもありがとうございました。とても為になりました。