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無意識と本能の意味と類型
(1)「無意識」という言葉をよく目にするのですが、この言葉の意味する所は、『ある特定の人物(実在しなくても良い)が抱いている深層意識』の意味なのか、『統計的に特定の集団(人類)が共通に抱いている深層意識』のことなのか、教えてください。 (2)また、無意識と本能の関係について教えてください。(共通事項か、包含するものか、特筆すべきものなど。) (3)本能の学術的な類型(定義)がありましたらご教示くださりますよう、よろしくお願いいたします。
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#3です。 補足に対してお答えしておきます。 >「本能」という意味が、曖昧な表現方法として、用いられていると解釈してよろしいでしょうか? 曖昧というか,文脈によって異なる意味で用いられているということです。 「無意識」と「本能」」が対になって出てくれば, 多少知識のある人はそれが精神分析的な意味あいで用いられていると思うでしょう。 一方,精神分析とは一線を画する心理学一般の世界では 「本能行動」という記述概念を用いることはあっても, 「無意識」とか「本能」とかいった概念を持ち出して何かを説明したりはしないということです。 もっとも最近は 『言語を生みだす本能(The Language Instinct)』の著者スティーヴン・ピンカーのように 時代がかった言葉と認めつつ確信犯的に「本能」を持ち出す人もいますが。 >また、「本能」を突き詰めると、「反射」という言葉に出会ったのですが、心理学では扱う分野でしょうか? 心理学の中の学習理論では 「本能行動」や「反射」のように特定の刺激に誘発される定型的反応を「レスポンデント行動」と呼び, それが経験を通して他の刺激と結びつく過程を「レスポンデント条件づけ」 (別名古典的条件づけ;条件反射がその典型)として研究しています。 しかしながら,「反射」自体のミクロな研究ということなら生理学の分野でしょう。 >上記内容を「詳しく」学びたいのですが、どうすれば?一番良いでしょうか? 上記というのが何を指すのかよくわからないのですが。 行動や欲求の生得的側面と習得的側面について知りたいということなら, 最近翻訳の出たこんな本はいかがでしょう? スティーブン・ピンカー (著), 山下篤子 (訳) 『人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か』(上)(中)(下) NHKブックス これではもの足りないとおっしゃるなら,こんな本もあります。 「詳しく」という御要望は十二分に満たされると思いますが,何しろ大判で960ページですので・・・(息 イレネウス アイブル=アイベスフェルト (著), 桃木暁子, 日高敏隆 (訳) 『ヒューマン・エソロジー―人間行動の生物学』 ミネルヴァ書房 本能の分類とか欲求の分類とかいうことなら, 現在では廃れてしまった研究ですので心理学史の本を読んでいただくしかありません。 精神分析的な無意識とか本能のことなら, まずはフロイトの『精神分析入門』を読んでから『本能(欲動)とその運命』でも読んでみてください。
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- Diogenesis
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まず精神分析≠心理学であることを最初に念頭においてください。 「無意識」や「本能」は精神分析における重要な概念ですが, 現代の心理学では限定的にしか用いられません。 (1)フロイトは初期の精神分析理論において心を地層のようなモデルで説明し, 「意識」や「前意識」のさらに下層にあって原初的な欲動に充ちた心の深層を「無意識」と規定しました。 ユングがこの個人的無意識のさらに深層に個人を超えて共有される「集合無意識」というものを想定したことは #2さんが書いていらっしゃるとおりです。 臨床心理学や発達心理学の一部を除いて 現代の心理学は基本的にフロイトやユングの想定したような心のモデルを採用しておらず, したがって「無意識」を説明概念として援用することもありません。 現代心理学の主流である認知心理学においても「本人が自覚していない」プロセスを想定しますが, 精神分析的なそれとの混同を避けるためにあえて「無意識」と呼ぶのを避ける傾向にあります。 (2)精神分析でいう「本能」は「欲動(Trieb)」と同義です。 ドイツ語のTriebがinstinctと英訳されたことから,日本では欲動という訳語と本能という訳語が混在しています。 フロイトが性=生の本能(Eros)をその理論の中心に据えたことは知られていますが, 晩年,これと対比する形で死の本能(Thanatos)を提唱するに至ります。 無意識と本能は本来区別されるべきものですが,しばしば混同して用いられているようです。 (3)フロイトと同時代に「本能のリスト」を作ろうとしたマクドゥガルという心理学者がいました。 しかしながら,数え方や分類が恣意的であること, また同語反復に陥って行動の説明と予測に役立たないことから この試みは顧みられなくなり,心理学は説明概念としての「本能」を放棄します。 現代の心理学が本能に言及するとすれば, それは比較行動学(ethology)に由来する「本能行動」を指すのが普通です。 本能行動とは,#1さんが書いておられるとおり, 特定の解発刺激によって発動される種に固有の生得的行動パターンを指します。 なお,ネコの生態を比較行動学の視点から理解するには次の本が参考になると思います。 すでに御存知かもしれませんが。 パウル・ライハウゼン(著)今泉吉晴,今泉みね子(訳) 『ネコの行動学』 どうぶつ社 http://webclub.kcom.ne.jp/mb/dbs-co/tosho/hon_html/neko.html
(1)について。 「集団が共通に抱いている深層意識」というのは、ユングのいうところの「集合的無意識」に当てはまると思います。 教科書的な説明になりますが、ユングが想定した集合的無意識は、個人の無意識のより深いところにある、とされています。
補足
ありがとうございます。 心理学でいう「無意識」とは、『ある特定な事項に関して、空虚な精神状態』をさすのか、それとも、『本人が自覚していない状態』をさすのか教えてください。 なにぶん、素人なので、よくわかりません。「無意識」「欲求」「本能」などについて興味深い書籍などございましたら、ご紹介願えませんでしょうか?
(1)前者です。後者のことを示す言葉は別に存在しており(忘れてしまいましたが)、無意識とは呼びません。 (2)無意識というのは、(定義が曖昧なので人によって言うことが違いますが)表層意識以外の意識のことをいいます。 対して本能とは、人間が最初から備えている「衝動」などのことをいい、無意識とは全く別の言葉です。 もちろんどちらも脳内の活動が作り出すものですから共通項は存在します。しかし基本的には、この2つの関係を議論することは、(議題の方向性にもよりますが)必ずしも意味のある行為であるとは限りません。 (3)辞書によれば、本能とは「その種の生き物が生まれつき持っていると考えられる行動パターン」のことだそうです。 ですが、どの心理学によって定義するかによってこれは変わってきますので、ただ漠然と「定義してください」と言われても答えられないのです。 たとえば、人間行動学では辞書通りの定義になりますが、大脳生理学では「遺伝子に最初から備わっているスキーマ」などといった定義の仕方をすることになり、明確で単一の言い表し方は存在しないわけです。
補足
ご回答ありがとうございます。 当サイト内、ペット>犬猫カテゴリー「猫の擬態行動(狩り)について」 http://virus.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=993606 が原因でふと思いついたことなのですが、このことと関連して、「無意識」?、「本能」? 何か資料などございましたら、ご教示願えませんでしょうか?
補足
「本能」という意味が、曖昧な表現方法として、用いられていると解釈してよろしいでしょうか? また、「本能」を突き詰めると、「反射」という言葉に出会ったのですが、心理学では扱う分野でしょうか? 当サイト内、生物「欲求について」 http://virus.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=994914 #9 selferさんの引用、ご指摘にあるように、「欲求」についての分類として、「生理的反射」によるものと、「獲得形質(価値観など)と関連した」ものがある様です。 上記内容を「詳しく」学びたいのですが、どうすれば?一番良いでしょうか?(当方、法学士)