40代以降の中年期から農業を始める人は十分な社会人経験を積んでいるため、人付き合いに慣れている、農業は基本的に自営業ですが、1人で黙々と作業をしていれば成立する職業ではありません。自治体の農業支援課や農協、近隣の農家など、さまざまな人たちとやり取りをする必要があります。慣れない就農で困ったときには先輩農家にアドバイスをもらうこともあります。円滑なコミュニケーション能力は就農者の必須能力といっても良いでしょう。また、中年期以降の就農者には、資金を貯める期間が十分にあるというメリットもあります。就農する際は農地や農機具、種苗、肥料などの設備や道具などを購入しなくてはならず、高額の初期費用がかかります。就農前後の数年は利益を上げるのが難しく、準備資金には余裕を持っておきたいものです。その点、中年期以降なら潤沢な資金を計画的に用意することができるでしょう。
ただほとんどの場合挫折しています
中年期から始める農業のデメリットは、体力の衰えにあります。農業は毎日屋外で作業をするのが基本です。過酷な自然環境にさらされながら、農作物や農地の管理をしていかなければなりません。若い頃はひと晩寝れば回復していた体も、年齢を重ねれば重ねるほど疲労が溜まりやすくなっていきます。特に40歳をすぎると老化は加速していくので、もともと体力のない人は体が順応できない場合も出てくるでしょう。また、それまでの人生経験から物事の考え方が固定され、悪く言うと頭が固くなっているために、新しい知識を吸収しにくいケースも考えられます。農業は天候や環境によって臨機応変に対応していく力が必要で、マニュアルを覚えれば確実に農作物が育つわけではありません。中年期以降の就農は、若い人よりも営農を通しての農業経験は必然的に短くなります。