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高木貞治「 解析概論 」の記載の疑問点
- 高木貞治「 解析概論 」(岩波書店)の p.119 にある項目「36. Legendre の球函数」の中に、( 5° ) の記述について疑問があります。
- ( 5° ) Pn (x) = 0 の根はすべて実数で -1 と 1 との間にあります。また、それらの根は単根であり、Pn-1 (x) = 0 の根によって隔離されます。
- 付記説明である( 5° ) の定理について、一行にも満たない短文で自明のように書かれているため、詳しい証明や説明を求めています。
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良く考えてみると分ります。P[n](x) = 0 の小さいほうから m 番目の解を、z[n,m] と書くことにします。流れとしては、 P[n](x)とP[n-1](x)の解の配置が入れ子になっている(そしてこれらの解はすべて単根)と仮定して、P[n+1](x)とP[n](x)の解の配置もやはり入れ子になっていることを導く という方針でいきます。 ◯ まず、(7)の漸化式から、nが奇数の時はP[n](x)は奇関数、nが偶数の時はP[n](x)は偶関数となるのはいいでしょう。何れにせよ、P[n+1](x) = 0 なら P[n+1](-x) = 0 となります。 ◯ で、先ず z[n,n] ≦ x ≦ 1 の範囲を考えます。P[n+1](1) = P[n](1) = P[n-1}(1) = 1 > 0 なのは分かっているものとします( 2°) 。一方、P[n+1](z[n,n]) の『符号』を考えると、P[n](z[n,n]) = 0 ですが、 P[n-1](x) は z[n,n]≦x≦ 1 の間で符号を変えない(!!!)ので ※ 何故ならP[n-1](x) = 0の最大解 z[n-1, n-1] は、「仮定」から z[n,n-1] < z[n-1, n-1] < z[n,n] を満たすので、z[n,n]≦x≦ 1 の間では P[n-1](x) = 0 は解をもたない P[n-1] (z[n,n]) > 0です。従って(7)から P[n+1](z[n,n]) < 0 となります。従って、P[n+1](x) = 0 は、z[n,n] < x < 1 の範囲で少なくとも一つ解を持ちます。 ◯ よって、P[n+1](x) = 0 は、-1 < x < z[n,1] の範囲でも少なくとも一つ解を持ちます。 ◯ 今度は、z[n, k] ≦ x ≦ z[n, k+1] の範囲を考えます。ここで、z[n, k] ≦ x ≦ z[n, k+1] の範囲における P[n-1](x) = 0の解は、「仮定より」 z[n-1,k]だけで、z[n,k] < z[n-1, k] < z[n, k+1] であることに注意します。 さて、P[n](z[n,k]) = P[n](z[n, k+1]) = 0ですが、一方、P[n-1](x)は、 z([n-1, k] の前後で『符号が入れ替わります』(なぜならz[n-1, k] はP[n-1](x) の『単根』だから)。従ってP[n-1](z[n,k]) と P[n-1](z[n, k+1]) とは符号が逆になっており、従って 漸化式 (7)から P[n+1](z[n,k]) と P[n+1](z[n,k+1])の符号も逆、よってP[n+1](x) = 0 は z[n, k] ≦ x ≦ z[n, k+1] の範囲で少なくとも 1つの解をもつ事が分ります。 ◯ 結局 P[n+1](x) = 0 の解は、[-1, z[n, 1] ] の間に 『最低』1つ、[z[n, k], z[n, k+1]] のそれぞれの区間に『最低』一つ、[ z[n,n], 1] の間に『最低』一つ解があることになりますが、これだけで既に合計 (n+1)個解があります。P[n+1](x) は (n+1)次多項式ですから、P[n+1](x) = 0 の解は最大でも(n+1)個しかないので、これで全て出尽くしていることが分かり、P[n+1](x)とP[n](x)の解の配置もやはり入れ子になっていること、又同時に解がすべて単根であることも分ります。
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- tmppassenger
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> 「 (-1, z[n, 1] ) の間に 『最低』1つ 」且つ「 ( z[n,n], 1 ) の間に『最低』一つ 」というのは自明ではないように思えます。 よく読みましょう。 まず、「 ( z[n,n], 1 ) の間に『最低』一つ 」の部分は、ちゃんと証明を書いてあるでしょう。『◯ で、先ず z[n,n] ≦ x ≦ 1 の範囲を考えます。』 で始まる段落を読みましょう。 で、「 (-1, z[n, 1] ) の間に 『最低』1つ 」というのは、『◯ まず、(7)の漸化式から』の段落で、『何れにせよ、P[n+1](x) = 0 なら P[n+1](-x) = 0 』と書いてあるでしょう。(z[n,1] = -z[n,n] ですよ)
お礼
ありがとうございました。長い間疑問であったことが解決いたしました。
補足
回答ありがとうございましたいました。返答が遅くなり、申し訳ありません。 1つだけ確認させてくください。 貴方の回答の最後の段落で ( 私の判断で閉区間を開区間に変更させていただきました。間違っていれば、ご指摘ください。)、 「 結局 P[n+1](x) = 0 の解は、(-1, z[n, 1] ) の間に 『最低』1つ、(z[n, k], z[n, k+1]) のそれぞれの区間に『最低』一つ、( z[n,n], 1) の間に『最低』一つ解があることになりますが 」 とありますが、「 (-1, z[n, 1] ) の間に 『最低』1つ 」且つ「 ( z[n,n], 1 ) の間に『最低』一つ 」というのは自明ではないように思えます。 これを示すには P[n+1](Z[n,n]) < 0 であることを示すことにより、P[n+1]( 1 ) = 1 から ( z[n,n], 1 ) に奇数個の単根が存在し、根の数は2個以下であることから1個であることが示せて、従って残りの1個の根は ( -1, z[n, 1] ) の間に存在するしかない。といことを示す必要があるように思えます。 これは、数学的帰納法の仮定と P[n-1](1) = 1 であることから ( z[n,n], 1 ) の間で P[n-1] = 0 が解を持たないために P[n-1](z[n,n]) > 0 とならねばならない。従って漸化式 (7) に z[n,n]) を代入することにより、P[n+1](z[n,n]) < 0 が得られる。 という考え方でよいのでしょうか。? それとも、もっと簡単に「 (-1, z[n, 1] ) の間に 『最低』1つ 」且つ「 ( z[n,n], 1 ) の間に『最低』一つ 」ということは示せるのでしょうか。