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公差と表面粗さの関係
- 公差と表面粗さには関連性がありますか?
- 寸法公差と表面粗さの関係について、適切な設定方法を知りたいです。
- 公差と表面粗さの理想的な関係について教えてください。
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考え方としては2通りあります。 1.JIS的な考え方 『面の粗さと寸法精度は別個の存在であり、個別に考えられるものである。よって「寸法公差は面の粗さの10倍」というのは誤っている。両者は無関係の別個の物として考えなければならない』 いわゆる独立の原則論です。教科書的にはこっちです。 2.実務的な考え方 実務で考えると、10倍、という細かい数字はともかく面粗さと寸法公差を包括的に考えるのは合理性があります。 ただ『寸法公差は、表面粗さの10倍以上に設定する』ではなく『寸法公差の10分の一程度に面粗さを仕上げなければならない』と捉えた方がいいでしょうね。 面の「粗さ」とは、要は微小レベルでの段差です。しかし線粗さや面粗さの測定は、その概念的に段差を小さい順に「ノイズ」「粗さ」「うねり」「形状誤差」として、フィルタにより分別する必要があります。 つまりは線粗さ、面粗さという概念そのものが、形状誤差や寸法誤差よりも著しく小さい領域の話なのが大前提です。 例えば分かりやすく「Rz:2」で理想的に凹凸している面を仮定します。この場合、面自体が凸で1μm、凹部でも1μm上下している事になります。 ここに±0.001の公差を設定した場合、微妙な測定時の差異でOK/NGが変化してしまうのは容易に想像できるでしょう。 また平面度が0.001で指定されていると、そもそも成立しない事にもなりえますね。 よって面粗さと寸法公差&幾何公差は一定以上の差異を設けた方が、無用なトラブルを防止する事になります。 またそもそも精密な寸法指定を見たす加工を行う場合、必然的に面粗さは良化します。現実的な「加工」の上では(特に機械加工において)寸法精度と面粗さは相関するのです。 もちろん、厳密に測定方法を取り交わし、面の粗さを凹凸の方向や尖り方、表面積その他諸々まで深く理解していれば話は別です。そうした領域の工業製品は存在します。 例:ピストンロッドの表面はわざとディンプル上に凹部を作り潤滑性を確保しつつ、寸法精度も幾何公差もギチギチ。 ただそれは、そうしたレベルで突き詰めた設計をする必要があり、それだけのリソースコストに見合う効果があるから行われるわけです。 そんな必要がないなら、ザックリと『表面粗さは公差の0.X倍』程度の簡易目安を設けてサクサク仕事をする方が合理的であると言えます。