1。説明が上手くなりたい
2。説明を上手くなりたい
ですね。
本来の日本語では1ですが、2を使う人もいるとは思います。現代日本語において、「が」から「を」への交代はかなりな範囲、頻度で起こっています。
そして、「が」を「を」に変えたところで同じ意味である、というわけではないのです。意味の違いがあるからこそ、異なる助詞が使われているのです。
例文2の場合、「を」は、本人が自身で働きかけて「上手くなろう」としていることを表します。
文の派生の過程を見ておきましょう。
(1) 説明「が」上手い
(2) 説明「が」上手く「なる」
(3) 説明「を」上手く「する」
(2)と(3)で、無意識的な混同、あるいは、意図的な交代、が起こり
(4) 説明「を」上手く「なる」
この混同されたものに「たい」がつき
(5) 説明「を」上手く「なり」たい
並行的な例も見てみましょう。
(1) 説明「が」上手くできるようになりたい。
(2) 説明「を」上手くできるようになりたい。
こうすると、(1) でも、(2) でも、いいように思えてきませんか。それは、助詞から文末までに距離があるからです。
「が」→「を」は、好き嫌いを表す表現、能力を表す表現、において、現代日本語で起こっています。
将来の日本語において、「あなたが好きです」とか「これがわからない人はいますか」の代わりに、「あなたを好きです」とか「これを分からない人はいますか」というのが普通の言い方になるかもしれません。そして、確かに、こういう言い方は増えていますよね。