- 締切済み
ドイツ語Ruteが十字架の意味で使われている例を探
ドイツ語Ruteが十字架の意味で使われている例を探してます。 幸いKreuzとRuteが georg philipp telemann作 Ich will den Kreuzweg gerne gehen, TWV 1:884 の中の以下の二つの曲タイトルに見つかりました。 (1)Arie: Ich will den Kreuzweg gerne gehen (2)Arie: Ich küsse die Rute mit freudigem Mute で、(2)のRuteは十字架の意味で使われているか知りたいのです。Muteと韻をふんでるだけで意味は(1)同様Kreuzか、単純に鞭などと他の意味か、です。 ネット上には歌詞まではでてないようで、cdを買うまでは出来ず、でいます。 (2)のRuteの意味をご存知の方、教えてください。 あるいは、歌詞が載っている書籍をお知りなら教えてください。 Ruteに十字架はないならそれまでですが。 お願いします。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
みんなの回答
- Tastenkasten_
- ベストアンサー率98% (339/345)
昼間、外出先で補足コメントを拝見しました。 古英語との意味対照というのは考えていなかったので、 その点からもう一度考察します。 英語で「十字架」を意味するのは rood です。 「笞」を意味するドイツ語の Rute に対応するのは、 rood ではなく rod です。 もちろん、どちらも語源は全く同じですが、 英語では一応分けて扱われています。 古英語では、rood が「十字架」を意味する唯一の語で、 古英語の後期になってから、古アイルランド語や古ノルド語の crúc や cros などの語が入ってきます。 そして、crucifix という語が英語の文献に最初に現れるのは、 1225年ごろということです。 つまり現在「十字架」の意味で使われる cross は、 英語圏では比較的遅く導入された語です。 それに対してドイツ語では、 古高ドイツ語(750~1050年ごろ)の時代には chrûzi、 中高ドイツ語(1050~1350年ごろ)の時代には kriuz/kriuze など、 現在の Kreuz に相当する語がすでに使われています。 (Friedrich Kluge のドイツ語語源辞典を参照。) 英語圏とは違い、Rute にそういう意味が与えられたことはないようで、 とりあえず古いドイツ語の辞書、Grimm(グリム兄弟編集)と、 Adelung の二つを見ましたが、やはりそういう意味も用例も一切載っていません。 Grimm のドイツ語辞典 Rute http://woerterbuchnetz.de/cgi-bin/WBNetz/wbgui_py?sigle=DWB&mode=Vernetzung&lemid=GR10003#XGR10003 Adelung のドイツ語辞典 Ruthe http://woerterbuchnetz.de/cgi-bin/WBNetz/wbgui_py?sigle=Adelung&mode=Vernetzung&lemid=DR02240#XDR02240 シェークスピアの『ハムレット』第3幕に、 "No, by the rood, not so" というセリフがありますが、 古いドイツ語訳でも、ヴィーラントの訳では beym Himmel(天に誓って) シュレーゲルの訳では beim Kreuz(十字架にかけて)となっています。 英語の rood は、特に中世の教会内陣や聖歌隊席入口の大十字架像を指しますが、 その下の装飾的な建築構造を rood screen といいます。 https://en.wikipedia.org/wiki/Rood_screen これもドイツ語では Lettner(内陣格子)という用語で呼ばれ、 Rute という語は使用しません。 https://de.wikipedia.org/wiki/Lettner 念のため、いろいろな検索語で Rute と Kreuz の意味的重複がないかどうか調べてみましたが、 やはりドイツ語の Rute にはそういう意味としての用例はないようです。
- SPS700
- ベストアンサー率46% (15297/33016)
もう優れた回答がありますから、これは寝言です。 英語には、下記の方に rood [ru:d] という言葉があり、十字架を意味します。 https://en.oxforddictionaries.com/definition/rood 下記の語源辞典では古英語のrod は「棒」を意味し、派生的に十字架も意味したようです。 https://www.etymonline.com/search?q=rood
お礼
ありがとうございます。 お二人から頂いた情報で整理してみます。 検索先として示していただいた辞書や、説明の展開の記述も参考にします。
- Tastenkasten_
- ベストアンサー率98% (339/345)
ドイツ語の Rute には「十字架」の意味はありません。 本来の意味は、「長細くてしなやかな枝」で、 「若枝を束ねた笞(むち)」の意味になります。 強いて「十字架」との関連性を探し出すなら、 語源の形に近い、古フリジア語の rode に「絞首台(Galgen)」と同じ意味があり、 「キリストの十字架」を指す言葉としての用例があるそうですが、 ドイツ語にはこういう用法は残っていません。 テレマンの曲の歌詞は、ちょっと見にくいですが、 下のサイトで全文確認できます(13~14ページ)。 https://issuu.com/susansevier/docs/musicforgoodfriday2013 3曲のアリアの間に2曲のレチタティーヴォが挟まれている形です。 歌詞のほかの部分で、「十字架」を表す通常の語 das Kreuz が使われているので、 Rute を同じ意味で使うということも考えられません。 韻は行末で踏みます。 一行の内部で踏む技法もあることはありますが、 この歌詞全体は、韻が必ずしも純粋ではなく(-ibt と -übt など)、 音節の数も不規則ですので、ある程度自由に書かれたもので、 一行の中で韻を踏むためだけに Mute に合わせて言い換えるというのも考えられません。 文脈からいっても明らかです。 Ich küsse die Rute mit freudigem Mute, die lauter Liebesschlage gibt. Die Myrrhen der Schmerzen Sind Zucker dem Herzen. Denn ob Gott äußerlich betrübt; Muß dennoch von innen die Seele Des süßeste Labsal gewinnen. 「愛の殴打ばかりを与える笞に、私は喜ばしい気持ちで口づけする」 とあります。Liebesschlage とあるので、Schlag(殴打)のことで、 現代ドイツ語の複数形は Schläge とウムラウトが付きますが、 古いドイツ語ではこのように、ウムラウトなしの複数形があります。 右側の英訳でも、blows となっています。 後の部分のだいたいの意味は、 痛みの没薬は 心には甘い。 なぜなら、神は悲しんでいるように見えても、 魂はその内なるところで、 これより甘いもののない癒しを得ることになるからだ。 というようなことになります。 Rute はオーケストラの打楽器としても使いますが、 木の枝を束ねたもので、大太鼓の胴の部分に打ち付けたりして使います。 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e7/Hot-rods_sticks_tipper_hinnerk-ruemenapf.jpg Rute にはほかの意味もありますが、「十字架」はありません。 Angelrute(釣竿)の略称とか、風車の羽根の一部の名称その他です。 https://de.wikipedia.org/wiki/Rute
補足
早々のお返事ありがとうございます。 懇切丁寧な説明に感謝します。しばらく日中は労働中のため、改めてお礼します。 なお、今回の質問は、Ruteに当たる古英語との意味対照のために調べていた一環のものと補足しておきます。
お礼
補足ありがとうございます。 お二人から頂いた情報で整理してみます。 検索先として示していただいた辞書や、説明の展開の記述も参考にします。 実際には、今回のRute以外にも調べる単語が山ほどありまして……
補足
…その後の再度の補足をして、今回の問いを閉じます。ありがとうございました。 十字架の表記を聖書の同章・節でざっくりと見てみました...マルコ15:21 ウィクリフは翻訳元の言語ラテン語をなぞりcross、ティンダルはギリシア語からcrosseに変え。ギリシア語からの翻訳であるゴート語聖書(4世紀半ば)はgalgen、アングロサクソン語版は「十字架を担ぐ」をbære his róde。(roddは他所で杖) Mark15:13, 14でみると、ウィクリフ、ティンダルは、いずれもcrucify himに当たる動詞で片付け、日本語版は「十字架にかける」の一辺倒。アングロサクソン版は、hang himに当たる語に。 マルコ8:34 では、ウィクリフ、ティンダルは、take his cross「十字架を背負う」 アングロサクソン版は、「苦難を負う」。この苦難は英語qualmに当たる語で古英語は死に至らせるほどの苦難。十字架にかけられ死を覚悟する程の。 アングロサクソン版は、各個所で具体的で多義的に意味を探らなくてすむ印象。take one’s cross は何を意味する?と問う英語サイトがいくつかありましたが、cross, crucifyをあまりに多義にしてしまった後世の翻訳版のため? どんな聖書解説書より、少なくともアングロサクソン版、ギリシア語、ラテン語版に目を配る意味は大きい気が。 以上、誤解があればご容赦下さい